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神戸市教育委員の一歩先を行く熱中症対策活動を取材しました。中学校、高校の教育関係者の方々、ぜひ一読を



2015年5月28日(木)、教えて!「かくれ脱水」委員会の服部益治委員長が、神戸市教育委員会が催す「安全な部活動のための研修会」に講師として招かれ、熱中症に関する講義をおこないました。全国の教育委員会に先立って始められた神戸市教育委員会の熱中症対策に関する取り組みは今年で10年目。かくれ脱水JOURNALでは、服部委員長の講演を機に、教育現場で意識の高い熱中症対策が行われている神戸市教育委員会の取り組みを取材し、いま教育の現場で出来ることを考える機会を持ちました。

安全な部活動のための研修会

安全な部活動のための研修会

主催する神戸市教育委員会事務局スポーツ体育課の谷口忠男首席指導主事によると、この『安全な部活動のための研修会』は、10年前に神戸市内の中学校で部活動中の男子生徒が熱中症で亡くなったことをきっかけに、教育現場の管理者がもっと熱中症について勉強する機会を持つために始まり、今回で10回目とのこと。毎年、神戸市内の中高校から、校長や教頭などの管理職と運動部顧問の各1人、それに養護教諭などが出席して開催されています。

現在、神戸市教育委員会では、教職員全員がどこかの部の顧問になっており、運動部については生徒に目が行き届くように考慮した2人顧問制。つまり、市内のすべての中高校管理職と、一般の先生がたの多くが、この研修会に参加経験を持っていることになります。

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この日、服部委員長が講演した神戸市総合教育センター大ホールは、神戸市内の中高校から集まった200人以上の先生がたで満員。参加した方々は、やはり教職員の方々。委員長が語る1時間以上の「熱中症はなぜ?予防と対策」と題した講演に真剣に耳を傾け、話のポイントではメモをとる姿がありました。

谷口首席指導主事

谷口首席指導主事

いま研修会の成果は見事に現れていています。「この研修会を始めてからは、熱中症による重篤な搬送などは無くなり、激しい運動によるケガなどでの救急搬送が数件だけに留まっている状態です。やはり、校長や教頭といった管理職から熱中症への対策を呼びかけたことが大きいと思います。いまでは、間違いなく100%の学校で、部活動中の給水を実践しています。また、6〜7年前までは、水筒の中にお茶を入れてくるようにいっていた先生たちが、今はスポーツドリンクを推奨するとも聞いています」と谷口氏(前出)。水分と電解質を摂るという意識が、市内の学校全体の運動部指導に浸透していっているとも語ってくれました。


ソフトとハードの充実で、熱中症対策実践中!

神戸市立鷹取中学校

神戸市立鷹取中学校

神戸市教育委員会では、研修会のような熱中症に関する知識や情報伝達の活動だけでなく、実際の学校生活の環境改善にも力を入れ、具体的に改革を進めています。「たとえば、市内の学校体育館で催される運動部の大会では、基本的に冷房を入れることにしました。教室については、中学校で2013年から市内の各教室に冷房を入れています。予算面で厳しかったのですが、小学校にも今年から冷房を入れることができます。保健室には、運動部の活動中に脱水のサインを感じた生徒のために経口補水液を常備し、冷蔵庫に冷やしておくことも推奨しています」と、谷口氏(前出)が、その具体的な対策の一部を紹介してくれました。

現在、全国の学校で、冷房導入への機運が盛り上がり、実際に導入への調査を実施し、導入へ動いている自治体が多くあります。ただ、まだ対策は遅れているのが現状です。神戸市では、大都市にも関わらず、全国に先立って、熱中症に対する知識や情報というソフト面の向上と、予防するための冷房設置などハード面での取り組みを同時に達成しているようにみえます。

服部益治委員長

服部益治委員長

服部委員長は、紹介したような神戸市教育会の取り組みに「神戸市教育委員会は頑張られていますね。10年前の中学校でのことがあったのと、2010年に、全国で1,700人を超える人が熱中症で亡くなったことを機に、より本格的に取り組まれてきました。熱中症は、早めの対応があれば重篤には至らないもの。先生がたが、「環境省が発表している熱中症の症状による分類」※を知り、生徒に異変を感じたときの対処を知っておくことが本当に大切です。冷房などの施設面は予算のことがありますので大変ですが実現されてきた。私は、何度もこの研修会に呼ばれていますが、先生がたは本当に熱心に私の話をお聞きになり、学校での実践に役立てて下さっているようです。最近は、神戸市だけでなく、その取り組む姿勢や具体的な施策が、周辺地域にも影響を与えているように思えますね。」と語っていました。

■神戸市教育委員会の熱中症対策(主な取り組み)

・年1回の「安全な部活動のための研修会」開催
・夏の神戸市中学校総合体育大会を開催する公共の体育館は、必ず冷房を入れる
・2008年 神戸市独自の合言葉「気温30℃又は気温25℃・湿度60%の場合は
 1時間ごとで休憩・水分補給・健康チェック」を周知。ポスターを作製し、
 全市小中学校および各区体育館、公民館などに配布(毎年)
・2008年 温度計、応急用スポーツドリンク、携帯酸素ボンベを中学校に配布
 熱中症と温度・湿度の関係を示したグラフ配布、学校内に掲示
・2011年 全市立中学校、2012年 全市立小学校に製氷機設置
・2013年 中学校の各教室に冷房を完備
・2015年度 小学校に冷房導入を予定
・保健室に経口補水液の常備推奨
・部活動中の給水及び電解質の補給推奨
・部活動の休息日推奨
・中学校 熱中症の取り組み状況の検証として、毎年アンケートを実施


経口補水液の常備を実践する保健室へ

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後援会当日、神戸市須磨区にある鷹取中学校を訪ねました。この学校の保健室にも、冷蔵庫に経口補水液が常備されています。保健室の児玉照美養護教諭は、「夏場はなるべく常備するようにしていて、脱水の初期症状があるような生徒には、早めに摂らせることにしています。各運動部の顧問もそれぞれが危機感を持っていて、クラブ活動中に生徒の体調変化を感じると、早めに生徒を連れてくる習慣ができています」とのこと。経口補水液の効果も実感していると語っていました。

冷蔵庫に常備された経口補水液と児玉先生

冷蔵庫に常備された経口補水液と児玉先生

※参照:かくれ脱水JOURNAL「脱水症予防が熱中症予防につながる」 ー 熱中症の新分類 ー
http://www.kakuredassui.jp/whatis5