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かくれ脱水コラム

コラム
更新日:2017/5/15
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秋の登山を安全に楽しむための10ヶ条

行楽シーズンを前に秋の登山を安全に楽しむための10ヶ条

美しい紅葉を求めて、秋の山々の登山・トレッキングを楽しむ方々が増えています。でも、山は、そこに立ち入るだけで脱水しやすい環境であり、秋の登山ならではの危険も潜んでいます。かくれ脱水JOURNALでは、秋の登山やトレッキングを安全に楽しんでいただくために、山での環境リスクやその予防について、医療と救助の専門家による対談を企画しました。すぐに役立つ内容です。秋の登山を計画する前に、ぜひ一読ください。

大城和恵×西村和隆

美しい紅葉を求めて、秋の山々の登山・トレッキングを楽しむ方々が増えています。でも、山は、そこに立ち入るだけで脱水しやすい環境であり、秋の登山ならではの危険も潜んでいます。かくれ脱水JOURNALでは、秋の登山やトレッキングを安全に楽しんでいただくために、山での環境リスクやその予防について、医療と救助の専門家による対談を企画しました。すぐに役立つ内容です。秋の登山を計画する前に、ぜひ一読ください。

秋の登山でのリスクとは?

秋の登山では、環境特性からくる注意点があるでしょうか?

大城

大城 秋といっても登山では、、汗をよくかきますし、高度が上がると、ハーハーと大きな呼吸になりやすいです。吐いた息からも水分が逃げますので、脱水になりやすいといえます。寒いと利尿作用も働き、山で活動することは季節に関わらず、脱水になりやすい環境。脱水状態になると、心筋梗塞など発症するリスクが高まりますので。注意が必要です。

私たちが主に活動する北海道の山を例にすると、水場が限られた山が多いんです。手つかずの自然の山が多い北海道では、山小屋があっても水を売っているわけではありません。お金を持っていてもしょうがない。北海道に限らず、事前に登山予定の山のどこで水を手に入れられるか調べておかないと危険です。秋の山登りでは、日没時間が早くなるので、水の確保は時間に余裕を持って行いましょう。

西村

西村 山は、一回行ったときこうだったから次も大丈夫だということはありません。毎回、環境が違うということもある。例えば、秋の山ではありませんが、今年の7月に利尻島(北海道北西部の離島)の利尻山にパトロールに行ったときのこと。島ですし、普段、気温があまり上がることのない場所ですが、その日は快晴の日が2日続いた後で、25〜26℃まで気温が上がったんです。山頂で登山者に確認してみると、登山者の方の十数人は飲み水がない状態で頂上へ上がってきていました。よくよく聞いてみると、普段はそんなに気温が上がらないところですから、ペットボトル1本しか持って登っていないんですね。

山に登る際は、もし、こうなったら、という最悪のケースも考えて準備をしていくというのも必要です。

秋の山に特有の事故がありますか? また何が問題となるのでしょうか?

秋の山に特有の事故がありますか? また何が問題となるのでしょうか?

西村 ここ数年は、秋の山では道迷いがいちばん多いようです。どういった状況で道に迷うかというと、紅葉の時期、紅葉を楽しみながら写真を撮ったりして歩くのは心地よいのですが、樹林帯の葉が落ちて、登山道を覆い尽くしてしまい、ルートを見失ってしまうということがあります。すると、急斜面に近づき、滑落してしまう事故も起こります。

もうひとつは、夏に比べて日没時間が早くなります。余裕を持った早い時間からの行動であれば日没までには下山できるのですが、何かアクシデントが起こったり、疲れてしまって行動が遅くなったりすると日没後に下山してしまう。日が沈むと、ヘッドライトのような照明器具を持っていない登山者は、周囲が暗くて登山道を見失い、その場から動けなくなって遭難してしまうということがあります。

天候や体調を鑑みて、途中で無理をしないで、最後まで山頂を目指すのではなく引き返すということも、選択肢として持って欲しい。

秋の登山・水分補給について

安全な山歩きの基本的なルール、水分補給や休憩の取り方などについて、少し詳しく教えて下さい

登山者に経口補水液を配布する大城委員(北海道旭岳での脱水啓発活動にて)
登山者に経口補水液を配布する大城委員(北海道旭岳での脱水啓発活動にて)

大城 まず水分は登る前にしっかり摂っておくこと。それから朝一回おしっこをして、登る前にもう一回おしっこが出れば、カラダに水分が循環している。それがカラダの出発準備が整ったということです。そのためには、朝最低500mlは飲まないといけません。少し塩分を含んだものを飲んだほうがカラダに水分を貯めておく作用があるのでお勧めします。

日本人の登山スタイルというのは、だいたい25〜30分歩いて5分休むか、50分〜1時間歩いて10分休むかというのが多い。登山中の水分補給は、それに合わせて、登りだしてからは30分ごとに200ml前後くらいずつ飲むように指導しています。登山は激しい運動ですから、汗や呼気で水分を失います。登り終わってからも水分を摂ることも重要です。

山歩き・水分補給の基本ルール

  • 経口補水液やスポーツドリンク
  • 経口補水液やスポーツドリンク

「経口補水液やスポーツドリンクが重いと感じる人は、事前に水場を確認したうえでパウダー(粉末)タイプを携行し、必要に応じて真水に溶かして塩分などの電解質と糖質を補ってもよい」と大城委員

山で起こる、危険なカラダのサイン(主に脱水からのもの)について、教えて下さい

大城

大城 山での脱水サインは、以前からご紹介しているように幾つかありますが、一般的には少しみつけにくいかもしれません。喉の渇きというのはすぐにはやってこないですし、疲労や寝不足の症状と同じように感じるんですね。私は、おしっこの回数がわかりやすいと思います。普段、2〜3時間に一度くらいはトイレに行くと思いますが、山の中でも同じことです。いつもと違うようならやっぱり脱水なのです。水分を幾ら飲んでもまだおしっこが出ないというのは、摂取量が足りないということ。おしっこがいつもと同じペースで出ていなければ、水分が足りないと覚えてください。

山での「かくれ脱水」を見つける6つのサイン
□ 何となくカラダがだるい
□ 足がつる
□ 食欲がない
□ ペースが落ちて集団から遅れ始める
□ いつもよりも尿が少ない
□ イライラする

またトイレをガマンするために水分を控えてしまう人が女性に多いです。夏場だと、それが山での熱中症の原因になっています。登山のリーダーが強制的に水分補給の時間を決めて水分を摂らせないといけませんね。水分補給を怠ると当然脱水のリスクが増します。体調不良の原因になりますから、秋の山などでも同じだと考えて欲しいです。

西村

西村 どこの山でもそうですが、とくに北海道の山ではトイレ事情はよくありません。私たちは、携帯トイレを携行することを勧めています。最近は多くの方が携行していらっしゃるようですよ。

ウェアや食事について

ウェアや装備で知っておくべきこと、守るべきことはありますか?

大城 いいウェアがいちばん(笑)。外側は防水防風。ちょっと湿度が抜けるようなゴアテックス素材のようなものがいいです。中に着るものは、薄いものを重ねる着方がいちばんいいのですが、肌と接する衣類は汗を吸い取って乾かしてくれる素材のもの。外に向かって保温性のあるものを纏うようにして、機能を使い分けて使うのがいいです。

ときどき、登山するご年配の方とお話すると、昔使っていたものをうれしそうに自慢している方がいらっしゃいますが、山では、「古い装備は機能的によくない」(笑)。最近のウェアには、新しい機能を持つ良いものが沢山ありますから、少し価格が高くとも、そういうものを選んで欲しい。命を守るものですから。

登山者に経口補水液を配布する大城委員(北海道旭岳での脱水啓発活動にて)
防水防風素材のウェアを着た北海道警察・山岳遭難救助隊の方々

山登りをおこなう際、食事はどう考えていけばいいでしょうか?

大城 こま目に食べながら登る必要があります。行動する為のカロリーと同時に、エネルギーが体温をつくってくれる。水分も同様です。山では、お昼の時間と言うのではなく、こま目にエネルギーや水分を補給していくという“行動食”という概念でいて欲しいと思います。

西村 一般的には、軽くてコンパクトで栄養価が高いものがいいでしょうけど・・・。私は、個人差はあると思いますが、自分が食べたいものを持っていくのがいちばんいいと思います。カラダにいいといわれてもノドを通らないようではいけません。食が進まないものより、これを山で食べたいと思うものを選んで欲しい。

大城 そうですね、やはり美味しいと思うものがいいですね。ただ、炭水化物はもっておくべきだと思います。すぐにエネルギーになるものは必要です。後は非常食用に加熱しなくてもすぐに食べられるものを持っていくことも覚えておきましょう。

秋の登山をより楽しむために

秋の登山をより安全に楽しむために、登山者へのアドバイスを

西村 事故を起こしたくて起こす人はいないといわれていますが、遭難している方の例を見ますと、自分の体力や技術に見合った山を選んで登っていただくことがいちばんだと思います。疲労にしても脱水症にしても、自分の体力以上のものを求めて、登山という長時間の運動をしてしまうと、体調不良を引き起こすことがありますし、下山中に疲労が蓄積してしまい脚の踏ん張りが効かなくなって転倒し、ケガをしてしまうことも多いようです。

また、大自然がそのまま残る北海道の山はとくに、ルート表示は観光地の山と違い、少なく感じるかもしれません。地図やコンパス、GPSなどを持って登ったほうがいいですよ。私がパトロール中に確認すると、そうした装備を持ってきていない道外の方も多いようです。秋の登山を楽しむために、装備も確認して欲しいですね。

熱中症予防は、早めの対処が必要
旭岳ロープウエイより望む旭岳

大城 私も、やっぱり体力に見合った登山を、ということです。基本的には山は体力、それも脚の筋力がないと登れない。山というのは、登りはゆっくりだと登れてしまいます。でも、下りは筋力がないと絶対に無理で、そこでケガをする人が多い。下山時に事故が多いのはそのためです。筋力がないと、疲れてふんばりがきかなくなるわけです。

登山をする人は、普段から階段の上り下りをするなどして,勾配で体重をかけるようなトレーニングをしないと登山向きの筋力はつきません。平地でのウォーキングをやっているから、というのではダメ。スクワットとかの筋力強化を組み合わせないと登山のトレーニングにはなりません。
筋力を鍛えていない人は、まず低い山からはじめて、下山のときに自分の筋力を確かめる。または、下山の道をなるべく緩やかな道を選ぶということも必要だと思います。

※登山時にもし脱水症になったら?
「登山やトレッキングでの脱水・熱中症その予防と対策」もぜひ参照ください。
http://www.kakuredassui.jp/findout4

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