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かくれ脱水コラム

コラム
更新日:2017/5/15
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これを知っておけばロングライドも安心。体験的脱水対策。完全公開!

体験的脱水対策

初夏に北海道ニセコで開催される「ボードマン ニセコクラシック」は、UCI(国際自転車競技連合)によるアマチュアライダー向けのロードレースシリーズ戦「UCIグランドフォンドワールドシリーズ」のひとつとしてアジア初のUCI公認大会となり、北の大地を疾走するこのイベントは日本の自転車ファンにとっての憧れの場所として定着してきました。

とはいえ、アップダウンの激しい長距離を全力で走るレースは大汗をかきます。パフォーマンス中の痙攣などの脱水症状は、猛スピードで走る自転車の転倒など、生命の危険をともなう大事故に繋がることもあります。ロングライドを安全に楽しく走るなら、なによりまず脱水対策を知っておくこと。今回は、このニセコクラシックに、かくれ脱水ジャーナルの記者が参加し、レースドクターをされた富和清訓先生に事前にご指導頂いた脱水対策を実践。レースにおける脱水対策を完全レポートするとともに、出場した選手がどのような脱水対策をしているのかも取材しました。その内容は脱水リスクの高いロングライドの自転車レースを、誰もが安全に完走し、フィニッシュ後もいち早く通常の身体に戻すための脱水対策AtoZ。自転車ファンにとって保存版となる情報となっています。

富和清訓

指導:富和清訓(とみわ・きよのり)先生

南奈良総合医療センター 整形外科

大学時代にロード&トラックレースを始め、JICF(日本学生自転車競技連盟)に所属しレースに参戦。ツール・ド・北海道2006(市民レース)で優勝。現在はUCIレースなどのレースドクターとして活躍。

レポート&座談会
  • 小渡健悟 選手
    体験者1:小渡健悟 選手
    シエルヴォ奈良所属
    プロロードレーサー
    140km MEN 19−34カテゴリー出場
  • 体験者2:西沢倭義 選手
    体験者2:西沢倭義 選手
    シエルヴォ奈良所属
    プロロードレーサー
    140km MEN 19−34カテゴリー出場
  • 体験者3:高梨治人
    体験者3:高梨治人
    かくれ脱水JOURNAL編集・
    アマチュアロードレーサー
    70km MEN 50−54カテゴリー出場
シエルヴォ奈良とは
シエルヴォ奈良とは・・・・

2010年設立の、奈良をベースとして活動する自転車ロードレースチーム。CIERVOとは「牡鹿」の意。国内レースに積極的に参戦し、14年度はランキング10位で終了。奈良を中心に、自転車を通じた地域貢献も積極的におこなっている。

Point 1レース前にやっておきたいこと

富和先生から
完走するための脱水対策ポイント

  1. 当日の朝食はしっかり摂る
  2. ウォームアップ時の発汗にも注意
これを読んでおくと、自分に置き換えられる?
体験者レポート・その1

当日の朝食はしっかり摂り、ウォームアップ時の発汗にも注意

西沢選手の朝食 この他にシリアルとコーヒーを摂取
西沢選手の朝食 この他にシリアルとコーヒーを摂取
西沢選手の朝食 この他にシリアルとコーヒーを摂取
ボトルに満載された経口補水液

ジャーナル(以下:J)これから富和先生からの脱水対策チェックポイントを確認しつつ三人で話していきたいと思います。よろしくお願いします。 まず、レース前には,どのような事に注意されていますか?

小渡(以下:小)レース前から暑さに慣れる工夫をしています。また、当日の朝食から水分や電解質をしっかり摂っておく。朝食は、140kmのスタートは6時50分だったので、睡眠を優先して5時半に朝ごはんを食べました。あと、前日のお風呂あがりや就寝前に少しずつ経口補水液を飲んで、ウォーターローディングもしました。

西澤(以下:西)僕も朝食はしっかり摂ります。

J)本番前のウォームアップはどうでしょうか?

小)私は、レース前半が平坦なコースで、全体のペースもゆっくりなので、その区間でウォーミングアップを行ないました。天候も雨、発汗を感じることはありませんでしたが、その間も水分補給は一定の間隔で行っていました。

西)いつも後輪固定式のローラー台でウォーミングアップをするので発汗します。その際は、自転車のボトルには電解質が入ったドリンクを用意し、こまめに補給しています。

Dr.富和アドバイス①
当日の朝ごはんやウォーターローディングで、脱水に備えよう。
当日の朝ごはんやウォーターローディングで、脱水に備えよう。

まず、朝ごはんはしっかり食べること。ご飯にも水分が含まれていますからね。塩分摂取には梅干しを食べるのも良いでしょう。レース前の試走やローラー台(自転車を機械に固定してペダリングする)などでウォーミングアップする際に、高回転でペダルを回し体に負荷をかける人がいます。実際に走行している時は、前方から風が吹くので涼しいですが、ローラー台でウォームアップしている時は、体温が急激に上昇するので発汗量は多い。脱水に注意するべきです。

また、体に水分を蓄えること(ウォーターローディング)も大事です。走りだすと一気にペースが上がってしまうので、給水のタイミングを逃しがちになる。レースの前のウォーミングアップ時から塩分などの電解質を含んだ経口補水液による水分摂取で脱水にそなえることも大事です。

Point 2レース中にやっておきたいこと

富和先生から
完走するための脱水対策ポイント

  1. 自分で給水ポイントを確認して給水プランを立てる
これを読んでおくと、自分に置き換えられる?
体験者レポート・その2

自分で給水ポイントを確認して給水プランを立てる

自分で給水ポイントを確認して給水プランを立てる
スタート直後の西沢選手と小渡選手 給水ボトルには経口補水液が入っている。
自分で給水ポイントを確認して給水プランを立てる
スタート直後の高梨編集員

J)さて、レースがいよいよスタート。脱水対策としては何より給水ポイントです。私は今回、70kmクラスでしたので、オフィシャルプログラムで確認した53km地点の給水ポイントまで、500㎖ボトル2本の経口補水液で走り、給水ポイントで水をもらって、経口補水液のオーエスワンにはパウダーがあるので、それを利用するプランでした。

小)去年出場した時は、気温が30度以上ある状況だったので、フレームに固定するボトルに2本、背中のポケットに2本経口補水液を入れて走りました。今年は気温がそれほど高くならないだろうと事前アナウンスされていたので、背中のボトルは1本にして走りました。給水ポイントには、水とスポーツドリンクが用意されているということでしたが、経口補水液を摂りたかったので、少し重いけれど自前で用意したというわけです。140kmクラスへの出場なので、2カ所目の給水ポイントまでは、経口補水液、その後は水とスポーツドリンクで給水するプランでしたね。実際にそのプランどおりで完走出来ました。

西)雨模様だったのでボトル1本に経口補水液を入れることにしました。そして、72kmと123kmの給水ポイントで水かスポーツドリンクを補給するプラン。

J)みなさん、やはり経口補水液の活用をベースにプランを立てたわけですね。

Dr.富和アドバイス②
事故にもつながる脱水を予防する給水計画を立て、
脱水症状を感じたらドクターへ

オフィシャルから水分補給のポイントの情報が必ず出ているので、場所の確認をしっかりとする。そして、給水ポイントでどのくらい補給するのか、給水までどれだけ持ってスタートするのか、自分で給水のプランを立てましょう。

持参する水分は、電解質が入ったものが良い。電解質がなくて水だけだと、発汗した際、体のナトリウム・カリウムが薄くなってしまい、カラダが体液をそれ以上薄くしないよう調整します。発汗と排尿に水分を追いやろうとして、ますます脱水状態がひどくなってしまいます。水だけでなく電解質を取ることで水分がカラダに蓄積されるのです。また、筋肉を動かすためにも電解質が必要ですので、特に運動時には水だけではなく電解質を摂取することが大事だと思います。

レース中、次の状態には注意して下さい。

  • いま走っていた時の記憶が飛んでいる
  • フラつきが出る
  • なんだか脈が早い感じがする
  • いつも走っているよりも異常に多い発汗がある

このような状態では、脱水が進んでいます。

ニセコクラシックでのドクターカーと富和先生
ニセコクラシックでのドクターカーと富和先生

フラつきに関しては、実際、本人の意識が下がっていたら本人は気づきにくい。ドクターカーや審判車両は、選手の状況を見ていて、おかしいと感じたらその選手を停車させます。また、自分の調子がおかしいなと思ったら手を上げ、近くにいるモト・コミッセール(オートバイに乗った審判)に話しかけることです。ドクターカーまで誘導してくれるか、呼んでくれます。救護車やサグワゴン(選手回収車)などがあり、レースドクターの判断でルールに則した対応ができる状態になっています。

Point 3レース後にやっておきたいこと

富和先生から
完走するための脱水対策ポイント

  1. 30分〜1時間は水分・電解質の補給を続ける。十分な栄養補給
  2. 帰宅後はストレッチや十分な睡眠をとる
これを読んでおくと、自分に置き換えられる?
体験者レポート・その3

30分〜1時間は水分・電解質の補給を続ける。

30分〜1時間は水分・電解質の補給を続ける。
フィニッシュ直後の水分補給中

J)ハードなレースです。フィニッシュ後はホッと解放されたいものですが、脱水対策については、これで終わったと思わずに、レース後もカラダにとってのレースは続いていると教えられたのですが、フィニッシュ後は何を飲みましたか?

小)フィニッシュ直後は雨で体が冷え切っていたのですが、私は、シャワーを浴びに行くまでの間に経口補水液を2本飲みました。レース後の水分補給の大切さを知っているので、実践しています。そして、普段から運動後に栄養をすぐ摂らないと疲労が回復しないと指導されていますので、フィニッシュ後にとっておいたパンをすぐに食べました。

西)フィニッシュ直後は、ボトルに残った水と栄養ゼリーを2本摂取しました。フィニッシュ後の水分補給と栄養補給は、カラダのメンテナンスにつながりますからね。

帰宅後はストレッチや十分な睡眠

J)他に気をつけていることはありますか。

小)僕はまずゆっくり寝て休息します。普段もレース後はよく眠ります。翌日も予定を入れず、ゆっくりすることが多いです。

西)帰宅後は、睡眠の前にストレッチを必ずします。ストレッチをしておくと、翌朝の疲労の感じ方が全然違うので欠かしたことはありません。

J)どれも大切ですね。皆さんは、普段から富和先生のアドバイスのもと、ロングライドのレースに臨んでいらっしゃるので、実体験のお話の中にも、やっぱり参考になることが多くありました。本日は、レース後にお時間を割いて頂き、ありがとうございました。

Dr.富和アドバイス③
フィニッシュ後の30分〜1時間、
カラダはレース中と同じ。水分と電解質を摂ろう。

レースが終わった後も脱水対策は大事です。暑い環境にいて、レースが終わった後は脈拍が速いので、体は活発的な状態になっている。また、日焼けによって体が火照っていて炎症を起こしているので代謝が進んでいる。とりあえず水分補給を行なうことが大事です。レース直後は、脚は止まっていますが、カラダはレースのときと同じ状態。レースは終わっている、でも息が上がっていて脈も早い、発汗もしています。カラダの中ではレースは終わっていないのです。30分〜1時間ぐらいは、体の中ではレースをやっているな、というつもりで、レース中と同じように、水分、電解質をとってください。そういう自覚を持ってもらいたいです。

フィニッシュ後の30分〜1時間、カラダはレース中と同じ。水分と電解質を摂ろう。

あと、レース後の爽快感にひたる方がビール片手に祝勝会をやってらっしゃいますが、レース直後のアルコール摂取は控えられたほうが良い。大きな大会では、会場の中に診療所があるのですが、毎年、レース後に急性アルコール中毒で運ばれてくる人が1〜2人います。レースで汗をかいて脱水状態になっているところにアルコールがカラダに入ると、カラダの中のアルコール濃度が急激に上がるのです。さらにアルコールを飲むと利尿作用で水分が放出されてしまうからです。

たっぷり休息も必要。レース後、遠方に帰る人は高速道路の休憩所などで、休憩時間を多めに取るべきだし、運転を交代してもらったりして疲労を分散したほうがいい。家に帰ったら、十分な睡眠をとることです。これがいち早い日常への回復に役立ちます。

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