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かくれ脱水コラム

コラム
更新日:2017/5/15
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ランナーなら知っておこう!黄色いビブスの頼りになるランナーたち

ランナーなら知っておこう!黄色いビブスの頼りになるランナーたち

日本医師ジョガーズ連盟(通称:日医ジョガーズ)は、ランニングドクターとしてマラソン大会に参加しながら医療支援をおこなっているNPO法人。教えて!「かくれ脱水」委員会の発足当時からの協力団体であり、所属する中村 集 先生には、ランニングにおける脱水リスクや対策など、かくれ脱水ジャーナルのコンテンツ指導をいただいています。今回は、中村先生が出走する日医ジョガーズ活動に密着。マラソン大会における日医ジョガーズの活動紹介と共に、その医療支援活動について詳しくインタビューします。マラソンは、注意していても少しの脱水からドクターのお世話になることがある激しいスポーツです。ランニングを楽しむランナーたちを、同じようにランニングを愛好するドクターが支援する活動から、ランナーたちが注意しなければいけない大切なことが見えてきます。

中村 集

NPO法人日本医師ジョガーズ連盟
(JMJA)理事 医学博士
中村 集(なかむら しゅう)

集クリニック院長。1980年、東邦大学医学部卒業後、同大橋病院第3外科、同佐倉病院勤務後、一宮温泉病院(山梨県)にて外科診療、訪問診療などの地域医療、回復期リハビリテーション医療に従事。2008年より杉並区で集クリニック開設。日本体育協会公認スポーツドクター。日本消化器病学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。

スタート前に、中村先生に聞きました

日医ジョガーズユニフォーム姿の中村先生
日医ジョガーズユニフォーム姿の中村先生

そもそも日医ジョガーズとは、どんな組織なんですか?

出走前、会員みなさんが語り合う風景
出走前、会員みなさんが語り合う風景

ランニングを愛好する医師・歯科医師からなる集団で、九州地区で1976年に結成された「医師走ろう会」が前身です。1983年に全国組織「日本医師ジョガーズ連盟 (JMJA:Japan Medical Joggers Association)」に発展、その後1999年にはNPO法人に認定されました。現在の会員は400名を超えています。活動としては、それぞれの地域で、イベントや講演会などを通じて生涯スポーツの必要性を説き、日常的な持久運動の意識拡大に努めています。早くから日本各地で開催されているマラソン大会で、共に走りながら医療支援活動をおこなってきましたが、2007年の東京マラソンをきっかけに、一般の市民ランナーにも日医ジョガーズのランニングドクターの存在が広く認知されたと思います。ランニングドクターとは、各種ランニングイベントに一般ランナーとともに参加し、コース内から医療監視をおこない、万が一ランナーの健康上重大な事象に遭遇した場合は、自らのレースを中断あるいは中止してその初期対応に当たる医師ランナーのこと。JMJAによる呼称でJMJAにより商標登録されています。

脱水などランナーのレース中の健康リスクに、ドクターとしてどのような準備をされているかをお聞かせください。

中村先生のウエストポーチ、携帯用マウスやグローブなど,救急グッズがひとまとめに。
中村先生のウエストポーチ、携帯用マウスやグローブなど,救急グッズがひとまとめに。

ランニングをすると体温が上がり、体温を下げるために汗をかき、気化熱を奪います。汗をかくと体液が失われ、失われた水分・電解質の補給を怠ると脱水状態に陥ります。ランニングドクターは脱水になりそうなランナーに事前に注意を促すとともに、脱水で倒れたランナーに対しては、常に電解質を多く含んだ経口補水液などを携帯し給水できるようにしています。また、ランニングドクターとすぐわかるように「医師」「救護」などと記された黄色いビブスを着用し、携帯電話、経口補水液、心肺停止のランナーにマウスツーマウスをおこなうときに使うフェースシールド、感染予防のためのゴム手袋などをポシェットなどに入れて携行します。

走行中、ランニングドクターとして、ランナーの何に注意を払っていますか?

ランニングドクターとしてランナーと並走する中村先生
ランニングドクターとしてランナーと並走する中村先生

やはり脱水状態です。ただし、市民マラソンもレースですから、救護する前に、まず声がけをします。走りながら、路上でうずくまっているランナーはもちろん、まっすぐに走れずふらふらしているランナーや、走っては止まりを繰り返しているランナーなどに注視し、まず声をかけて返事ができるようなら、すぐには救護しません。

レース中、どのような水分補給を指導されていますか?

経口補水液をウォーターポケットに入れている日医ジョガーズの方
経口補水液をウォーターポケットに入れている日医ジョガーズの方

走り方や体型などの個人差、環境的な条件によって、ランニング中に必要な給水量は若干異なりますが、おおむね1時間当たり400~800mlが目安です。ほとんどの大会では5km毎に給水ポイントがあるので、市民ランナーでは給水所のカップ半分以上(100~150ml)、気温が高い時はやや多めにとりましょう。汗をたくさんかくようなときは水分だけではなく、電解質(特にナトリウム)と糖分の補給が必要であり、一般のスポーツドリンクよりも塩分を約2倍、糖分を1/2に調整した経口補水液(OS-1など)が有用です。

また、最近こまめに水分を摂るようにアナウンスされることが多いですが、水分(電解質を含まない)の摂りすぎは水中毒となり、肺水腫、脳浮腫から死に至ることもあり注意が必要です。「のどが渇く前に飲む」から「のどが渇いてから直ぐ飲む」が良いというのが最近の知見です。ただし、直ぐ飲まないと脱水の危険があります。

レース後、中村先生に、聞きました

中村先生
中村先生

今日の感想を聞かせてください

救護室で活動する日医ジョガーズの方々
救護室で活動する日医ジョガーズの方々

幸いなことに、レースの開始時刻当たりから雲が出て涼しくなりました。天候でリスクは大きく変わるのです。今日レース中の搬送者は一人も出なかったし、数人が軽い脱水状態や疲れから救護室で横になられた程度でした。僕が声をかけたランナーも一人だけ、それもすぐに大丈夫という返事でした。搬送者がいないというのはなにより。ランニングドクターの活躍はあまりありませんでしたが、楽しく走って終われる今日のような日が一番なんです。

ゴールした後、気をつけておくべき点などありますか?

「ゴール後のビールが楽しみ」と言って、ゴール手前の給水ポイントで給水が必要な状態でも給水せず、ゴール後直ぐにアルコールを飲むランナーがまだいます。脱水を助長するだけではなく、肝臓への負担も多いため控えてほしい。走り終わってまず水分補給をおこなった後にしましょう。

また、筋肉痛を残さないようにするためには、ゴール後30分以内(成長ホルモンがたくさん出ている時間)に良質のたんぱく質を摂るといいです。さらにストレッチング、アイシングも効果的です。

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