かくれ脱水JOURNALは熱中症、脱水症対策の最新情報をお届けする情報サイトです

かくれ脱水コラム

コラム
更新日:2017/1/19
View107
脱水生活百科

脱水生活百科

この数年、夏を重ねるごとに「熱中症」へつながる「脱水症」について社会の意識が高まっています。そして秋や冬には、ノロウイルスやロタウイルス感染性胃腸炎による下痢やおう吐時の脱水対処が認知されてきています。同時に、「脱水」が、わたしたちのカラダに流れる体液のさまざまな機能を低下させ、本来持っている免疫力を弱め、生命に関わるさまざまな病状を発生させることも多くのメディアが伝えています。いま、わたしたちの暮らしは、「脱水」への対処とともにあるといっても過言ではありません。そして症状が出る前のちょっとした脱水=「かくれ脱水」は、実はもっと生活のいろいろなシーンで頻繁に起こっていることにも気づき始めています。生活を「脱水視線」で見つめ直し、生活習慣の中で「脱水」を位置づけてみようと、かくれ脱水ジャーナルは考えました。とりあえずこの時期に役立つものから。新しい習慣を生み出すための暮らしの手引きとして、役立てていただきたいと思っています。

下田 敦

下田内科クリニック院長 医学博士
下田 敦

米国国立衛生研究所(NIH) 肝炎ウイルス部門客員教授 金沢大学第一内科講師 金沢赤十字病院内科部長 内視鏡センター長を歴任

①自宅での下痢やおう吐。脱水対処の習慣を

冬のノロウイルスやロタウイルスによる感染性胃腸炎に限らず、ちょっと食べ合わせが悪かったときも下痢・おう吐は起こります。すると、便汁や胃液として大量の体液が失われます。そこには電解質が大量に含まれています。失われる電解質のうち、ナトリウム(Na)は体液の循環に重要な役割を果たし、カリウム(K)は神経や筋肉の興奮・伝達・収縮に作用するなど、人間が生きていく上で重要な役割を持っています。

そんなときにお湯やお茶などで水分だけを摂ると、失われて少なくなっている電解質濃度がさらに下がります。人のカラダは体液中の電解質の濃度を一定に保とうとする働きがありますから、失われたまま少なくなっている電解質に合わせて濃度を調整しようと尿として水分を排出するので、結果として脱水を助長させることになってしまうのです。

①自宅での下痢やおう吐。脱水対処の習慣を

ですから、下痢やおう吐が起こった際には水分とともにナトリウムやカリウムといった電解質を適度に補給することが大切になります。とくにカリウムは、一般的に体液中の正常値が3.5mEq/L〜5mEq/Lという非常に狭い範囲で調整されていて、保つのが難しい電解質。不足すると、神経系が興奮し、手足がしびれたり、不整脈が多くなったりし、脱水症の症状が悪い方向へいってしまうことがあります。体調を崩して下痢やおう吐をする場合は、できるだけ早く、スポーツ飲料や経口補水液などを飲んで、電解質を補ってください。

スポーツドリンクや経口補水液には少量の糖分が含まれていますが、それは腸での水分吸収を高める重要な役割を果たしていることも知っておいてください。

②朝は脱水状態です。朝食抜きは脱水を助長します

朝は脱水状態です。朝食抜きは脱水を助長します

わたしたちのカラダは、朝は脱水状態です。一般に、夜7時ぐらいに夕食を摂ったとして、朝食は翌朝7時〜8時になります。つまり10時間から12時間ぐらい絶食していることになります。しかも寝ている間に呼気や発汗によって500ml程度の水分が失われます。朝の尿は500ml程度排出されますから、合計で1000mlの水分が電解質とともに失われています。

朝忙しくてコーヒー1杯で外出すると、コーヒーはさらに利尿作用もありますから体液は失われるばかりです。カラダは、ナトリウムやカリウムをあまり貯めておくことができません。

朝食抜きは脱水を助長します

午前中の時間帯に不整脈や狭心症が起こりやすいのは、脱水そしてカリウム不足が原因だと思われます。食事で水分と電解質とくにカリウムを摂れば心臓の興奮性なども抑えることができるでしょう。つまり脱水をケアするためにも、朝食で水分と電解質を摂ることが大切です。生活の習慣としては、やはり1日三食をバランスよく摂ること。そして、野菜の摂取はビタミン摂取のためと思われていますが、多くの野菜にはカリウム不足を防ぐ効果もあるのです。カリウムは腎臓の疾患をもつ人などには摂取過多になると循環器系に悪影響を及ぼしますが、食物から摂取する場合は消化管が必要な分だけをカラダに取り込むので比較的安心です。

時間の都合でどうしても朝食を食べられないときは、水分と電解質そして糖分を含む経口補水液を1本(500ml)ぐらい摂ると脱水の解消に役立ちます。

③二日酔いの一部の原因は脱水と関係しています

二日酔いの一部の原因は脱水と関係しています

頭ががんがんと痛い、胃がむかむか気持ち悪い…… 二日酔いの典型的な症状です。原因はいろいろありますが、アルコール代謝の途中で生成されるケトン体(主にアセトアルデヒド)という中間物質が刺激作用を有することも一つの要因だといわれています。ただでさえ、アルコールの利尿作用によって脱水状態になっています。脱水状態を改善し、ケトン体を身体の外に排出するためには、水分補給が大きな役割を果たします。お酒を飲みながらチェイサーとして水分を摂る、寝る前に経口補水液を飲む、朝起きたら経口補水液を飲むなど、しっかりした水分補給を実践すれば、二日酔いを軽減できると思います。お酒の前後に、甘さ(ブドウ糖)が入っているスポーツ飲料や経口補水液を適宜摂取すると、ブドウ糖の代謝が進んでいきますから、脂肪代謝によるケトン体生成が弱まるという説もあります。

④カラダは4時間しか水分を貯めない、長寝や夜更かしも脱水を生む?

カラダは4時間しか水分を貯めない、長寝や夜更かしも脱水を生む?

長く寝ていると二日酔いと同じようなケトン体が出ます。若い人で、激しいスポーツの後に疲れてしまって12時間以上寝る人もいるようです。その結果、朝起きたとき、下痢・おう吐までいかないけれど、気持ち悪い、頭が痛いと通院してきた大学生がいて、調べるとやはりケトン体が尿から検出されました。
そういう場合は、まず脱水状態を疑い、頭痛薬を飲むより、経口補水液のようなものを摂ってカラダの循環を良くするように指導します。ケトン体をまず消したほうがいいですよと。

人間は4時間ぐらいしかカラダに水分などを貯めておくことができないといわれています。理想は、4時間に1回ぐらいは目覚め、トイレに行くときにスポーツ飲料とか経口補水液で水分と電解質そして少しの糖分を摂ったほうがいいのです。一般的に8時間の睡眠を取るとして、寝る前に1回飲んで、夜中に1回トイレに起きて1回飲む、朝起きがけにまた飲むというぐらいがいいのですね。とくに高齢者は、そういう日常的な生活の工夫で体調の管理をする習慣をつけて欲しいと思います。

深夜遅くまで起きているのも、「脱水視線」ではお勧めできません。そこではもう脱水が準備されているのですから。眠れないで本などを読んでいるときは経口補水液をちびちび摂っていると、脱水は改善します。カリウムも入るから、リラックスできてよく眠れるかもしれないと覚えましょう。

⑤下痢は止めない。熱は下げないという習慣へ

下痢は止めない。熱は下げないという習慣へ

以前、O-157による出血性大腸炎が発生したときに、下痢止めを処方された患者さんが重篤化したというケースがありました。そのときに厚労省は医師に向けて、感染性大腸炎が疑われるときには下痢を止めないで処置をするよう通達を出しています。下痢は、身体に入った菌などを体外に出そうとしている状態です。ですから、無理に止めてしまうと、菌が身体に留まってしまいます。一方下痢を止めないと脱水になってしまいますから、その脱水を改善する方向で治療しなさいということ。失われた水分や電解質を摂って補うという発想転換です。

風邪のときの発熱も似た考えがあります。インフルエンザのようなウイルスがカラダに入るとリンパ球や白血球が体を十分に巡って、カラダは熱を上げ、免疫反応でウイルスを排除する。無理矢理解熱剤とかで熱を下げると、その免疫反応を妨げることになります。一方熱を下げなければ脱水が進むわけですが、熱を下げない状態で脱水が進まなければ、一番いいわけです。だから、最近、医療の現場では解熱剤を使わずに経口補水液をどんどん使ったほうがいいとされています。発熱の場合、85%ぐらいがウイルス性の感染だから、免疫力が排除しようとしていることを邪魔しないほうがいいだろうということです。

注意しなければいけないのは、2次感染とか肺炎の場合には、やはりすぐ抗生剤を使わないといけません。そうなる前に、ウイルス感染であっても、脱水状態をあまり起こさないよう保ちながら、自分の免疫力で排除できる状況に持っていくことなのです。

「37.5度なら脱水を防げば治せる?」

小児の場合

小児の場合、罹患すると反応が激しいから、すぐ熱が出て、しかも容態は急変します。そうならないように、保護者が様子を見て普段よりもちょっと元気がないなと思ったら、すぐ熱を計ることは大切です。でも慌てないでください。37度5分ぐらいまでの熱は、脱水でも出るのです。特に小児はそうです。

また、在宅医療を受けている高齢者もしょっちゅう37度5分ぐらいの熱があります。そういうときに、すぐ解熱剤とか抗生剤を使うのではなく、食事量を見てください。するといつもより減っていることが多い。食事が入らないということは、カラダの中で食事が消化されて、代謝されるときに出る代謝水が減少していること。脱水の症状として熱が出ているのです。まず、経口補水液を飲ませて、状態を見ましょう。それだけで改善することがあるのです。

普段から脱水を防ぐということは、免疫の働きを十分に働かせることにつながることを知っておきたいですね。

⑥26度。脱水をコントロールできる環境温度

26度。脱水をコントロールできる環境温度

現在は、住宅事情がよくなり、高気密な住宅に住むようになりました。気候変動のこともあり、在宅医療でご自宅へ診療に行くと、夏の西日が当たっている部屋におじいちゃん、おばあちゃんがいらっしゃって、室温を見ると38度とか40度だったりします。少し昔だったら、風通しのいい部屋で、窓の隙間から風が抜け、西日が当たっていても、そんなに室温は上がらなかったと思います。

本来は住宅事情の変化で過ごしやすい住宅になっているはずなのに、逆に子どもや高齢者が脱水になっている現状があります。エアコンをつけていても、エコのために夏は28度にしなさい、冬は20度と言われています。そうすると、脱水になりやすいのです。「脱水視線」では、国が推奨する室温はかえって良くないのかもしれません。28度の部屋にいると、多くの人は汗をかきます。冬の20度は緊張する。実は、1年中大体26度ぐらいが一番いいんです。あまり汗をかかないので、汗による水分出入りも少ない。そんなに寒くも感じないので神経系にもいい。エアコンの風を直接カラダに当てないよう水平に出るようにして、サーキュレーターや扇風機などで暖かさを部屋全体に行き渡らせればカラダにもやさしい。子どもや高齢者のいるご家庭は無理無く過ごして欲しいものです。

⑦大切なのは体液の循環。ストレスと脱水の関係を知っておく

大切なのは体液の循環。ストレスと脱水の関係を知っておく

「脱水視線」ではカラダの体液循環を見ます。たとえばストレスは、ある意味、高度な精神の緊張状態。心拍数も上がりますし、脈拍や体温も上がってくる。ちょっと疲れやすい状態です。胃腸にきて下痢をしたら脱水ですが、そこまでいかなくともハァハァと呼吸回数が増え、呼気で失われる水分も結構多くなります。脱水気味になるわけです。喉、気道も渇いてきますから菌やウイルスからも狙われやすくなり、炎症をひき起こします。だから、ストレスがあると、それ自体は重い病気じゃないのですが、脱水症や炎症につながりやすいのです。

ストレスになると緊張しますから血管は収縮します。白血球やリンパ球の流れも悪くなる。この緊張状態は、いろんな病気を呼び込む状態をわざとつくっているのかもしれません。リラックスするために吸う息よりも吐く息を長くする呼吸法をおこない、体液の循環を促すために、水分と電解質そして糖質をバランスよく含んだ経口補水液を摂るといいと思います。

「食べ過ぎは、カラダの循環に悪影響」

食べ過ぎると血液が、胃、腸、肝臓などの消化管に集まります。カラダ全体の循環を考えるとき、眠気が出たり、高血糖が起こったり、脂質異常症のリスクが増したり‥‥末梢(まっしょう)は脱水状態に近い状態になります。そういうときに、循環を考えて欲しい。経口補水液を少し摂り、食べ過ぎによって消化管に集中している血液の流れを、なるべく末梢まで戻すようにしましょう。「脱水視線」では、食事は3食をバランスよく、腹7分目にしておくことです。

下田先生からひとこと

下田先生からひとこと

日常の中に潜んでるちょっとした脱水、脱水の前状態=かくれ脱水は、様々な生活シーンでいつも起こっていると思います。軽い発汗程度であれば、普通のスポーツ飲料、ちょっと激しい汗とか、おう吐、下痢っぽい状態があれば経口補水液と、使い分けていけばいいと思います。そうしていけば、さらに悪くなる状態を食い止めることができる。薬を飲めばいいじゃないかという人はまた別だけれど、なるべく薬を使わないような生活をしたいと思うなら、まず「脱水視線」から見た予防を、これからの生活習慣として考えていかれたらいいんじゃないかと思います。

脱水は、脳や心臓の血管にも関わってきます。非常に怖いものです。
だから、カラダの循環を助け是正する意味でも、経口補水液は非常に大事な生活のツールだと思います。上手に活用してください。

こんな記事もおすすめ!
脱水生活百科

脱水生活百科