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「かくれ脱水」の発見法

かくれ脱水
更新日:2017/1/10
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知っていると安心。専門医に聞く家庭での脱水症、緊急対策

知っていると安心。専門医に聞く家庭での脱水症、緊急対策

家庭や職場などで脱水症が起こったら、まわりはどうすべきなのでしょうか。 救急医学のスペシャリストである三宅康史先生に 緊急時の対処法についてうかがいました。

三宅康史

昭和大学医学部救急医学講座准教授
昭和大学病院救命救急センター長
医学博士
三宅康史(みやけ・やすふみ)

専門は救急医学。日本救急医学会評議員・指導医、熱中症に関する委員会委員長、脳死・臓器組織移植に関する委員会、東京消防庁救急隊指導医などを務める。編著に『ICUエキスパートノート』(中外医学社)、『改訂第2版 ICUQ&A』(羊土社)などがある。1985年、東京医科歯科大学医学部医学科卒業。

熱中症の緊急度をシンプルに確認します。

熱中症はⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と3段階にわけられており、それぞれ対処法のガイドラインが示されていますが、三宅先生は次の2点が、周囲の人にとってとくに重要だとおっしゃいます。

  1. ①意識がちゃんとしているかを確認する
  2. ②そばで誰かが見守り、経過を追う環境を作る

言動がおかしい、いつもと違うと思ったら、現場で対応可能なⅠ度を超えていると判断。救急車を呼んで病院へ運びます。意識がしっかりあるようなら、カラダを冷やし、冷たい経口補水液などで水分と電解質を補ってもらいます。自分で水分が飲め、10~20分して症状が収まってくれば、ひとまず危機は脱したと考えられます。それでも回復しない場合はやはり救急車で病院へ運びます。
大事なのは、熱中症が疑われる人をひとりにしないこと。「水を飲んで、涼しいところで休んでください」とアドバイスするだけで、まわりに人がいなくなると、カラダの冷却や水分補給で症状が回復しない場合、意識が失われて重症化を見逃す恐れがあるからです。熱中症の人には必ず誰かが付き添い、現場での対応で症状が回復するかどうか、きちんと経過を追うことが大切です。

意識の状態で現場対応が可能か、病院へ運ぶかを判断します。

  • 意識がはっきりしている → 現場で応急処置対応。そばに付き添い、経過を追う
  • 言動がおかしい、意識がない → 救急車で病院へ搬送する

緊急時の対処法を覚えておきましょう

熱中症の患者さんが救急車で運ばれてくるという知らせが入ると、三宅先生は次のような準備をします。冷房(+除湿)を最大にして処置室をキンキンになるまで冷やし、霧吹きとガーゼを用意。4~5℃に冷やした点滴を用意するのです。
患者さんが処置室に到着したら、服を脱がせ、皮膚にガーゼを当てて霧吹きで水をかけます。通常では体温が上昇すると発汗が起こり、蒸発するときに気化熱を奪ってカラダを冷やそうとしますが、熱中症になると脱水のため発汗が起こらなくなっているため、代わりに霧吹きで水を吹きかけ、その気化熱でカラダを急いで冷却するのです。ガーゼを当てるのは、直接皮膚に水をかけても、蒸発する前に垂れて落ちてしまうからです。
意識がある場合は冷やした経口補水液を自分で飲んでもらい、意識がない場合には冷たい点滴をします。冷たい点滴には、①水分、電解質、糖分を補う、②内側からカラダを冷やすという2つの効果があります。
この処置を参考に家庭でも行える熱中症の緊急対応を覚えておきましょう。

家庭でも行える熱中症の緊急対応。

  • エアコンで部屋を冷やし、扇風機で風を送る
  • 服を緩めて安静にさせる。
  • 下着のうえから霧吹きで水を吹きかける。
  • 保冷剤を腋の下、鼠蹊部、後頭部などに当てて冷やす。
  • 冷やした経口補水液などで水分を補う。

*意識があり、自分で水分補給が行えるときはそばに誰かが付き添い、経過を追う。意識がないときは、救急車を呼び、到着まで上記の処置を行う。

“熱中症弱者”を守る方法を知りましょう。

三宅先生は「それまで元気だった人が労働やスポーツなどで大量に汗をかいて起こる熱中症は、きちんと対処すれば予後も良く、後遺症も残らないケースがほとんどです」とおっしゃいます。それに対して重症化しやすいのは、高齢者や病気の人など、そもそも元気がない“熱中症弱者”。
ことに注意が求められるのは、一人暮らしの高齢者、高齢者が高齢者を介護する老老介護の家庭など。周囲が異変に気づくのが遅れると、気温の上昇、栄養不足や下痢などから脱水症が進み、重症化。栄養不足や免疫力の低下などから、感染症などを併発しがちです。日頃から周囲が声をかけ、脱水症になっていないか、体調不良の兆しはないかといった安全確認をしてください。
高齢者は気温の変化に対するセンサーが鈍っているので、夏場に気温が上がっているのに気がつかないケースもあります。そこで高齢者の部屋に温度計を設置。「28度を超したら、冷房を入れてカラダを冷やしましょう」などと声をかけてエアコンのスイッチを入れてください。直接訪問できないときは、気温が上がるお昼頃に電話をかけて部屋の温度計の表示を教えてもらい、「28度を超えているのだから、冷房を入れましょう」などと声をかけてエアコンのスイッチを入れてもらいます。
高齢者が多い団地などでは、夏場気温が上がる午後1時頃から高齢者に冷房の効いた集会所に集まってもらい、映画を上映するところもあります。こうすれば、1日のうちでもっとも暑い時間帯を冷房なしで過ごすことが避けられますし、安全確認にもなりますから、一石二鳥です。

“熱中症弱者”の高齢者の脱水症を防ぐ方法

  • 高齢者を一人きりにしない。
  • 1日に最低1回は周囲が安全確認を行う。
  • 高齢者の部屋に温度計を置く。
  • 温度計で客観的に気温を示し、エアコンを使う。

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