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「かくれ脱水」の対策

かくれ脱水
更新日:1年前
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日常的に脱水にリスクが高い高齢者の、在宅ケアについて

日常的に脱水にリスクが高い高齢者の、在宅ケアについて

通院困難、退院後の療養、認知症などで在宅ケアが必要な方は、 さほどの暑さがなくとも、日常的にかくれ脱水状態になりやすく、 脱水症状が進行しやすい“脱水弱者”です。 脱水から「せん妄」を起こすと認知機能の低下にもつながり、 本人と介護者の負担がさらに増えます。 かくれ脱水の予防法を知り、最大限の対策をしてくだい。 ※参考資料:高齢者の脱水症とせん妄・髙瀬義昌 著/中央法規出版「おはよう21(2011年

夏だけでなく、屋内でも脱水になってしまうという「かくれ脱水」になりやすい在宅療養者。かくれ脱水リスクを評価しておきましょう。

寝たきりなどで医療機関などに通えない「通院困難者」、退院後に自宅で療養している方、歩くことが困難な障害のある方、認知機能に不安がある方は「かくれ脱水」から熱中症になりやすい傾向があります。

高齢であるだけで体液の量が減少し「かくれ脱水」のリスクは高まりますが、ことに、一人暮らしである、家族と同居していても日中は独居になる、また食欲がないなどの人は「かくれ脱水」の高リスク者だと認識してください。こうした方が、だるさを感じたり、足がつる、頭が痛いといった症状になるとき、すでにかなり脱水状態が進行していると思われます。

とくに認知機能が落ちている方は、温度に対する感度が落ちて暑さを平気に感じがちです。そういう方は、エアコンのリモコン操作をできない場合もあります。また、閉めきりになりがちな部屋で、高齢者のことを考えて窓ぎわの日当りのいい場所へベッドを設置すると、その横にあるカーテンが熱を持ち続け、秋でも30度を超える部屋になることがあるなど、脱水へは逆効果になる場合が多いようです。部屋の環境を知るために部屋には温度計・湿度計が絶対に必要ですし、ときおり空気を入れ換えるほか、ベッドは窓から少し離し、枕元など手の届く場所に水分を置くなど、家族や介護者が、在宅療養者のかくれ脱水のリスクを正しく評価し、一年を通じて脱水に対する対策をおこなってください。

■在宅療養者のスクリーニング → ■脱水症を疑う要因と症状

  • 高齢者である
  • 睡眠障害がある
  • 直射日光が当たるカーテンの側で寝ている
  • 認知機能が低下している
  • 抗精神薬を処方されている
  • 日中独居である(一人暮らしである)
  • 声がきちんと出ない(いつもに比べて)
  • 肌にツヤがなく張りがない
  • 足がつる
  • 頭痛がする
  • 食欲がない

「高リスク者で、足がつる、頭痛がするという症状を訴える場合、救急車を呼ぶか呼ばないかの瀬戸際だと覚悟ください。高齢者がしばらく入院を必要とするなど、安静を強いられる場合、筋力と認知機能が落ち、認知症が進む恐れがあります。そのためにも事前のかくれ脱水対策が非常に大切。食欲がないときは、おかゆと梅干しでもOK。おかゆから水分と糖分、梅干しから塩分とクエン酸が摂れるからです。脱水と疲労の対策になります。また高齢者の転倒予防に筋力トレーニングが推奨されていますが、筋力トレーニングで筋肉を増やすと脱水予防にもなります。筋肉は体内で水分と塩分などの電解質を貯めるタンクになってくれるからです。医師と相談して無理のない範囲で、筋力トレーニングを行うことも大切だと思います」
たかせクリニック 髙瀬義昌理事長

経口補水液を常備する。
かくれ脱水を進行させない方法です。

在宅介護の場合、かくれ脱水を疑ったら経口補水液を即座に補給します。とくに暑い日に、要介護者に食欲がなく水分と塩分などの電解質が十二分に摂れていないときは、脱水症(夏の場合は熱中症への進行も)の危険が差し迫っています。

かくれ脱水に陥っている場合、水やお茶のように塩分を含まない飲み物では、十分に回復することができません。かえって低ナトリウム血症となり「せん妄」と呼ばれる意識障害をきたすことがあります。要介護者がいるご家庭では、いざというときに慌てないように、経口補水液は最低5〜6本つねに用意しておいてください。用意しておいた経口補水液は、災害時の水分補給でも大いに役立ちます。要介護者のえん下機能が低下しているケースでは、飲み込みやすいゼリータイプの経口補水液を使うと良いでしょう。

■「かくれ脱水」からの回復を促す方法

  • えん下機能が正常な場合    → 経口補水液を適量飲む
  • えん下機能が低下している場合 → ゼリータイプの経口補水液を適量飲む

「糖尿病や高血圧などの持病を持つ高齢者には、糖分と塩分を含む経口補水液を飲むことをためらう方もいます。かかりつけ医に日頃から脱水時の経口補水液の飲み方について相談しておくと良いでしょう。相談できない緊急時には、経口補水液による脱水への対処を優先してください。糖尿病や高血圧などの治療や予防のために作られたガイドラインが高齢者にそのまま当てはまるとは限りません。それよりも緊急時には“いまそこにある危機”である脱水を回避することが先決です。」
たかせクリニック 髙瀬義昌理事長

周囲の安定のためにも、脱水による
「せん妄」を防ぐことを覚えておきましょう。

おもに夜間に錯乱や幻視を起こしたり、不安や恐怖感、あるいは無感動等の症状をおこすことを「せん妄」といいます。せん妄の原因はさまざまですが、実際には感染症・脱水・便秘・薬剤(多剤併用など)が多いといわれています。つまり脱水も要因のひとつ。脱水で体内の水分と塩分などの電解質が不足したり、電解質濃度が薄くなったりすると、脳の機能にも影響が及びせん妄が起こりやすくなるのです。

せん妄の始まりを防ぐためにも、かくれ脱水の予防を怠らないようにしてください。

また、せん妄を起こすと水分補給を適切におこないにくくなるため、さらにせん妄が悪化するという「負のスパイラル」に陥り、せん妄も脱水状態も急速に深刻化します。ことに高齢者で認知機能が低下していると、せん妄を繰り返すことで認知機能がさらに下がり、認知症が進行する恐れもあります。これは、要介護者だけでなく、その周囲の介護者や家族の環境へも大きな負担を与えることにもなり、在宅介護の問題のひとつとされています。

感染症による下痢・嘔吐や、発熱による多量の発汗などによって、体から多くの塩分が失われているのに、水やお茶のように塩分を含まない飲み物だけで水分補給を行っていると、体の塩分が余計に薄まる「低張性脱水(低ナトリウム血症)」に陥ってしまい、脱水状態から回復できないことがあります。低張性脱水のサインも見逃さないようにしながら、経口補水液を用いて塩分も補給できるようにしてください。

■せん妄を疑う兆候

  • 意識混濁と注意の障害
    ・突然、いるはずの無い人が見える
    ・小動物が見えるなどという
    ・紐を見て蛇がいるなどと主張し騒ぐ
  • いま何時? ここはどこ?(見当識障害)
  • 5~30分前のことが分からない(近似記憶障害)
  • つい先ほどのことが思い出せない(即時記憶障害)
  • 精神運動性障害
    ・動作が極端に少ない(寡動)
    ・会話が少ない、反応が鈍い(非活動性)から、
     突然立ち上がって騒ぐ(運動不穏・活動性)
  • 睡眠・覚醒リズムの障害(昼夜逆転)
  • 急性発症・日内の急変

■低張性脱水(低ナトリウム血症)のサイン

  • 喉の渇き なし
  • めまい  あり
  • 頭痛   あり
  • 血圧   低下
  • 尿量   末期まで正常
  • 精神状態 無関心・昏睡

「高齢者になると認知症が増えます。認知症の代表的な症状に物忘れがありますが、物忘れそのものでは本人も家族もそれほど困らないケースが大半。むしろ注意すべきはせん妄です。脱水時に水やお茶だけで水分を補ったために、低張性脱水を起こし、せん妄と脱水の負のスパイラルに陥り、重症化することはぜひ避けてください。認知症になったら、緩やかに認知機能の低下をするように導くのが理想。脱水によるせん妄や入院を繰り返すと、認知機能が一気に低下するハードランディングとなり、本人も周囲も生活の質(QOL)が低下します」
たかせクリニック 髙瀬義昌理事長

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