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都立大泉高校が取り組む「熱中症対策講習」で十河委員が講義。高校1年生200名が熱中症の科学から対策までを受講



2015年、東京の八王子市や練馬区では、はじめて35度を超える猛暑日となった7月13日(月)、東京都練馬区にある都立大泉高校視聴覚ホールにおいて、「熱中症対策講習」が開催され、講師として、教えて!「かくれ脱水」委員会から、十河剛委員が招かれました。

東京都立大泉高校で行われた熱中症対策講習

東京都立大泉高校で行われた熱中症対策講習

この講習は、都立大泉高校、先生方に授業の一環として毎年開催されていて、今年で4回目。高校生となった1年生がはじめて迎える夏を前に、生徒一人一人に熱中症や脱水症への知識を吸収し、自らと学友たちの安全に役立ててもらうためのもので、この日の講習を1年生が受ければ、現在大泉高校に在籍する生徒は、基本的にすべて熱中症対策講習を受けているという事になるそうです。


■講習の1時間は、熱心な聴講と笑いとで過ぎていきます

講習は大泉高校の視聴覚室で行われた

講習は大泉高校の視聴覚室で行われた

十河委員、実は「高校生の前で話すのは、はじめて」ということ。会場となった視聴覚ホールに集まった200人の生徒たちを前に、この日の十河委員はまず、生徒たちとのコミュニケーションをはかるために、自分の幼少時代から現在までの自己紹介で講演を開始しました。

さまざまな種類の水分を試飲する生徒たち

さまざまな種類の水分を試飲する生徒たち

講義の本題に移ると、ステージ上に、生理食塩水、経口補水液、スポーツドリンク、ミネラルウォーターなどを用意し、生徒代表をステージに呼んで試飲してもらい、その味の感想などを聞きながら、講演を進行していきます。

生徒と一緒に脱水の科学を講義する十河委員

生徒と一緒に脱水の科学を講義する十河委員

あらかじめ用意したフリップを使って、試飲の感想を利用したクイズ形式の問いをだし、生徒たちの答えを聞き出すと、それに合わせて、スライドを使って塩分とカラダの関係などを、多様なグラフや数値を紹介しながら解説。生徒たちは、珍妙な答えが飛び出し笑いが起こるなど、和やかな雰囲気の中で、普段勉強する事のない、汗のナトリウム濃度の比較や、暑さに慣れる時期が人間には必要なこと=暑熱馴化のことなども、しっかり学習していました。


■重要なことは、熱中症かな?と疑うこと

教えて!「かくれ脱水」委員会 十河委員

教えて!「かくれ脱水」委員会 十河委員

十河委員は、普段あまり意識していないときにも、脱水症や熱中症の初期症状になっていることがあることを理解してもらうために、熱中症の症状とその重症度についても詳しく説明。Ⅰ度Ⅱ度*のときなら、初期治療をしっかりしていれば熱中症の重篤への進行はないことを強調します。そして、その熱中症の初期症状への対処法として、経口補水液がどうして良いのか、その活用の仕方などを解説しました。

講演の終了間際、十河委員は、この日に覚えて欲しい重要なこととして、意識の持ち方を挙げ「少しぼんやりとしたり、こむら返りなどを起こしたときは、これは熱中症かもしれない」と、まず思うこと。その大切さを説き、友人や今後2年生になったら、後輩にも、変化を気付いてあげることの重要性を話していました。

*かくれ脱水JOURNAL「脱水症予防が熱中症予防につながる/熱中症の新分類」参照
https://www.kakuredassui.jp/whatis5

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質問時間では、経口補水液のOS-1のゼリータイプとドリンクタイプの使い分け方などの質問もあり、実際に、質問者がゼリーとドリンクを飲み比べて、その味覚の違いを体験し、水分と塩分摂取については同じ効果であるにもかかわらず、ゼリーの方が塩味を感じにくい点などを確認するなど、高校生にも経口補水液が浸透しつつあることが伺える一幕も。質問をした女子生徒は、「家でもゼリータイプのOS-1を風邪のときなどに飲んでいました。水分と一緒に塩分を摂ることがカラダに良いことは知っていましたが、今日の講義でグラフや数値を使ってわからせていただいてよかった。」と笑顔で話していました。


■高校の熱中症予防への取り組みの可能性

養護教諭の石原恵子先生

養護教諭の石原恵子先生

この講習を主導する養護教諭の石原恵子先生が、「試験が終わって、部活動も長くやるようになるし、夏休みには合宿もある。一年生から熱中症が出ないと確信しています!」と講演後にひとこと。

石原先生は「十河先生の活動を、かくれ脱水JOURNALで拝見し、お願いしましたが、こんなに図表や数値を見せていただいた講演ははじめてで、生徒はとても興味をもって聞いていました。」と、講習に手応えを感じられた様子。十河委員も、「高校生を対象にした講演ははじめてで心配していたのですが、少し難しいと思われる部分も、とても熱心に聞いてくれ、理解してくれているのが伝わりました。こうした高校での取り組みは、とてもいいですね」。と語っていました。

体温調節の機能が完全になっていない中高生の時期に、脱水症や熱中症の知識をきちんと知り、それを今後に活かしていく。それは、これからの生活の上での知識活用にも大きな影響を与えるように感じます。とても有意義な取り組みが、200人の高校生の笑顔とともにありました。