熱中症と脱水症に専門家が発信する正しい情報を!隠れ脱水JOURNAL

更新日:2年前
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Q

3歳の子どもが、急に吐いて下痢を繰り返したとき、病院で診てもらうまで心配で心配で…、家でもできる応急の処置はないのでしょうか?
(30代、主婦)

A

ノロウイルスやロタウイルスのような感染性胃腸炎に罹患して水分・電解質補給を怠り放っておくと、脱水状態になってしまいます。おう吐があるときには、おう吐が治まるまで待ち、スプーンやペットボトルのキャップなどで経口補水液を少しずつ与えて下さい。とくにノロウイルスなどの感染性胃腸炎では最初は5~6時間おう吐が続くこともありますが、その間にも脱水状態は進行します。一度にたくさん飲ませると、それが原因でおう吐をしてしまうことがあるため、少量を頻回に与える事を心がけて下さい。

アンサー
服部 益治 委員長

服部 益治

Q

夏はシブシブ私の言うことを聞いて水分補給をしてくれていた82歳の父が、冬は実感がないのか「いらない」「面倒だ」と言って飲んでくれません。父に、冬場にも脱水する可能性があることを分かってもらうにはどう説明したら良いでしょうか? 
(50代、主婦)

A

お元気そうで何よりですが、高齢の方には冬も脱水に注意してほしいのです。第一に、高齢者は、普段から加齢とともに食が細くなり食事から摂る水分量が減っています。また湿度が下がってカラダが乾燥しやすい冬場は、高齢者がジンワリ乾燥から軽い脱水状態になりやすい環境です。高齢者は軽い脱水状態になっても喉の渇きを覚えにくいということもあります。冬は、周囲の人が意識して、水分を与えたり、食事量も減らないように気をつけてあげてください。

もちろん、感染性胃腸炎に罹患して下痢やおう吐をしたり、インフルエンザなどで高熱を出し汗をかいたときは、脱水状態になる危険性が高いです。夏にも対処をしたように、経口補水液で補水してください。経口補水液は一気に飲むよりも少しずつ飲んだ方が効果的。嚥下機能が落ちていて、むせたりして飲みにくい場合はゼリータイプもおすすめです。

アンサー
秋山 正子 委員

秋山 正子

Q

息子夫婦が共働きで、日中、孫を見ている祖母です。感染性胃腸炎の時に経口補水液で対処をすることは良く理解できました。冬は他にもインフルエンザや風邪なども心配ですが、その時にできる対処法はありますか? 
(60代 孫を持つ主婦)

A

かわいいお孫さんです。ご心配ですね。ご質問へお答えする前に、まず以下のことを覚えていて下さい。子どもは、様々な機能が未発達であるため、大人に比べて脱水に陥りやすいと言えます。おう吐や下痢はもちろんのこと、ちょっとした発熱や食欲低下でも脱水におちいりやすいものだと思っていてください。
お子さんに下痢やおう吐などがなくとも、発熱があって多く汗をかいた場合などは脱水状態になる事があります。

なんとなくぐったりしている、いつものような元気がない、といったことは、脱水状態の大事なサインです。普段と違って様子がおかしいと思ったら、脱水状態にあるかもしれないと考えてください。感染性胃腸炎が発症(進行は急です)し、下痢やおう吐をした場合の対処として経口補水液で補水することはもちろんですが、できれば、お孫さんの脱水時の対応のために経口補水液を家庭に常備しておくことをお勧めします。はじめは味を嫌がる場合があるかもしれませんが、徐々に慣れてきますし、少しおしゃべりができるようになると、自分から欲しがるようになりますよ。幼稚園や保育園、小学校などでも、保健室などに常備していくことを広めたいですね。

アンサー
靍 知光 委員

靍 知光

Q

ウチの父は「俺は熱中症にはなったことがない!」と言い張り、暑い日でも水分を摂ってくれません。心配しているのですが…。
(50代 主婦)

A

お父様は、推測すると70代半ば以上の方だと思います。この世代となると、やはり水分と塩分などの電解質の補給はこまめに摂っていただくべきです。加齢にともない、カラダ内の液体である体液が減少しますし、誰もがのどの渇きを自覚しにくくなっています。また、どうしても高齢者は尿が頻繁になり、トイレに行く回数が増えます。それを避けるために、たとえ喉が渇いても水分を摂ることを我慢しがちなのです。
お父様も、この頻尿は避けたいとお思いかもしれません。普段の飲食も、いわゆる“食が細くなる”ことによって、必要な水分や電解質の摂取が不足ぎみになることがあります。健康な高齢者でも、こうしたことがすべて当てはまると考えてください。つまり平常時でも高齢者は脱水しやすいということです。

近年の暑さは、高齢者にとっては、負荷の高いものになっています。機会をつくって、カラダの変化についてゆっくりお話いただくことも必要ですが、例えば庭仕事をしたお父さんに、利尿作用のない麦茶と一緒に塩分を含む梅干しを出して、少しカラダの話をするなど、工夫してください。また、普段から、水分や電解質がバランスよく入った経口補水液を用意しておくことをお勧めします。暑い日に少しぼ〜っとし、暑気あたり気味に思える時に、経口補水液を飲んでみて自分でその効果を感じると、その後も飲み続ける方が多いようです。吸収がいいですから、摂取後にトイレの回数が増えることもありませんよ。

アンサー
服部 益治 委員長

服部 益治

Q

経口補水液を買って飲んでみたのですが、しょっぱくてマズイです。薄めたり、炭酸で割ったり、なにか美味しい飲み方はないんですか?(30歳 男性)

A

経口補水液は、カラダが脱水状態にあるときに、水分と塩分などの電解質やブドウ糖などをバランスよく摂って症状を改善するためのものです。失われた体液を補うということですから、体液が十分な時はしょっぱく感じて当たりまえです。体液が足りないときは甘いか全く味を感じなく飲めます。また市販のものはWHO(世界保健機構)のガイドラインに基づいてつくられていますから、薄めたり他の物を加えたりすると効果がなくなりますので控えてください。

外を歩いて帰宅し、暑くて喉が渇いた、という程度なら冷やした水や麦茶とおやつを食べればいいでしょう。外回りの営業活動などで、たっぷり汗をかいたならスポーツ飲料もカラダに必要な電解質を補ってくれるものです。ただ、趣味のジョギングなどの後で、少しふらふらしたり、汗が止まらなくなったり、足がつったりという症状があるときには脱水ですので、すぐに経口補水液を摂ってください。そのとき飲む経口補水液は、きっと美味しく感じるはずです。脱水状態のときに,上がった体温を冷やすという意味で、経口補水液を冷やしておくと、より飲みやすくなるようです。

アンサー
谷口 英喜 副委員長

谷口 英喜

Q

先日、暑い日だったから部屋でのんびりしていたのですが、夕方になるとボーッしてしまい、ちょっと頭痛も。これは、熱中症ですか?
(70代 主婦)

A

熱中症につながる脱水症状が発生していたと考えていいでしょう。実は、室内にいて熱中症による救急搬送をされる方はとても多いのです。

ご相談の方は、エアコンは付けていましたか? 
室温が高いと体温も上がり、発汗が促され脱水していきます。また不感蒸泄というカラダからの自然な水分消失がありますし、呼吸時にも水分を失っています。暑い日にエアコンをつけず、風通しが悪い部屋や、緑の陰などになっていない部屋に長時間いると、カラダからは相応に水分や電解質が失われているのです。いわばかくれ脱水です。このままでいると、次第にカラダがだるくなり、水分補給もいつもにまして怠りがち。いつの間にか、脱水状態に進み、ご相談のような症状になるのです。そのままでいると危険な状態になることもあります。高齢の方は、普段から脱水しやすいカラダであることを自覚して、節電などに無理に取り組まず、出来るだけ部屋を快適に保ちながら、水分や塩分などの電解質補給をおこなってください。

アンサー
秋山 正子 委員

秋山 正子

Q

卓球部の中学生の息子がいます。毎日ちょっと驚くほどヘトヘトになって帰ってくるのですが、室内競技だから熱中症は大丈夫ですね?
(50代 主婦)

A

頑張っているのですね。元気で何よりですが熱中症はとても心配です。学校ではクラブ活動のときの水分や電解質の補給を指導しているのか、ご相談のお母様はお聞きになっていますか?

毎年、熱中症による小中高校生の救急搬送者は全搬送者の2割近くに達しています。それも体育館や武道場を使用する室内競技の学生児童が多いのですよ。実は、卓球やバドミントンなど風の影響を受けやすい競技はとくに注意が必要です。風の回らない体育館の暑さや高い湿度は、風のあるグランドよりも汗が蒸発しにくく脱水から熱中症になる危険がより高いのです。私たち医師は、暑い日のクラブ活動では、無理させず喉が渇いていなくとも定期的に水分と電解質の補給をすべきだと、指導者の方へ伝えています。それに、クラブ活動では、向上心のある子どもほど無理に無理を重ねて頑張りがちです。周囲のご父兄や指導者と相談し、暑い日は暑さ指数なども参考にして、無理をさせず、休憩も多くして、出来ればスポーツ飲料や経口補水液を脱水予防に準備して活動するようにしてほしいですね。

アンサー
靍 知光 委員

靍 知光