熱中症と脱水症に専門家が発信する正しい情報を!隠れ脱水JOURNAL

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発熱による発汗は、大量の体液を喪失する脱水。家庭での脱水対策が重症化を防ぎます

インフルエンザウイルスに感染したとき、かかりつけの医者に診てもらうことに加えて、インフルエンザを長引かせたりしないために、家庭でも出来ることがあります。インフルエンザの特徴である発熱は大量の発汗を伴うことがあり、発汗は脱水につながります。これを軽微なものと考えずに、汗を感じたら水分と適度な塩分などの電解質を補給して対処することです。

インフルエンザウイルスに感染すると38°C〜40°C程度の高熱が出ますが、40°C近い高熱になると人によっては1日に3ℓ程度まで汗をかくといわれています。汗には水分とともに電解質も多く含まれていますから、大量の発汗による脱水を放置すると、カラダの機能の維持に必要な体液の減少につながり、インフルエンザによる症状を悪化させたり、回復を遅らせたりするリスクがあるのです。

また、大量の発汗がある場合でも、人はノドの渇きをそれほど危急に感じません。意識的に水分を摂ることが少ないし、なんとなく水分だけ摂って塩分などの電解質を摂らない人も多いようです。水だけを摂ると、カラダは薄くなった塩分濃度を調整しようと水分を排泄し、実は脱水を進行させることになります。大量の汗によって失った水分や電解質を、すみやかに充分量補う必要があります。とくにカラダが未成熟で脱水しやすい子どもと、カラダの水分量や食事量が減少している高齢者は、インフルエンザウイルスに感染したときは十分に気づかい、こま目な水分と塩分の補給を意識してください。 インフルエンザウイルスに感染したら早めの正しい脱水対策を。脱水状態の場合は、水分と電解質を的確に含む経口補水液を摂ることも選択肢として持っておきましょう。
ぜひご確認ください。

「上手に使おう経口補水液」
「冬脱水の対策・小児の冬脱水対策は、素早く、補水です」

高齢者の方はとくに注意。インフルエンザの先にあるリスクについて

せん妄の主な要因
・感染症(尿路感染症など)
・複数の身体的疾患
・便秘
・脱水症/栄養失調症
・激しい痛み
・薬の服用(市販薬を含む)
・過度の飲酒
・急な禁酒、または薬(特に睡眠薬)の服用の中止

高瀬クリニック院長

髙瀬義昌(たかせ・よしまさ)

日頃、高齢者の臨床現場にいる私から、インフルエンザウイルスの先にあるリスクについてお話しします。

高齢者の場合ですが、インフルエンザウイルスに感染した際に、二次感染にも気をつけて欲しいと思います。最近は、肺炎になるケースが増えています。肺炎は、インフルエンザをこじらせて弱ったカラダに、肺炎球菌などが感染して発病するのですが、死に至ることもある病気です。早めの処置をすれば治る病気ですし、インフルエンザワクチンに加えて、5年おきに肺炎球菌のワクチンも打つことをお勧めします。

また、おもに夜間に幻視を起こしたり、不安や恐怖感、無感動などの症状をおこすことを「せん妄」といいます。せん妄の原因は別表(*1)のようにさまざまですが、実際には感染症・脱水・便秘・薬剤(多剤併用など)が多いといわれています。つまりインフルエンザからの脱水症も要因のひとつ。脱水で体内の水分と塩分などの電解質が不足したり、発熱による発汗のときにはあまりノドの乾きを感じないために水分だけを摂って電解質濃度が薄くなったりすると、脳の機能にも影響が及びせん妄が起こりやすくなるのです。

せん妄を起こすと水分補給を適切におこないにくくなるため、さらにせん妄が悪化するという「負のスパイラル」に陥り、せん妄も脱水状態も急速に深刻化します。ことに高齢者で認知機能が低下していると、せん妄を繰り返すことで認知機能がさらに下がり、認知症症状が急激に悪化する恐れもあります。
在宅医療では、とくにリスクの高いと思われる人には経口補水療法を勧めています。せん妄の始まりで重症化にブレーキをかけるのが重要だと思っているからです。

せん妄の主な要因
・感染症(尿路感染症など)
・複数の身体的疾患
・便秘
・脱水症/栄養失調症
・激しい痛み
・薬の服用(市販薬を含む)
・過度の飲酒
・急な禁酒、または薬(特に睡眠薬)の服用の中止

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インフルエンザ予防は、手洗いの徹底と湿度管理。ワクチン摂取は、リスク減少のためだと考えましょう。

更新日:2014/12/25

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