私たちは、感染性胃腸炎からくる脱水の危険性と、正しい対処法をお伝えします。

冬脱水SOS

かくれ脱水JOURNAL

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感染を広げないために、家庭ですぐに活用できる対処法

Kさん うちも4歳の息子が8か月のときに感染性胃腸炎にかかりました。ダブルベッドで親子一緒に寝ていたら、枕元におう吐していて。その後下痢も始まりました。翌日私も発症してダウンしてしまい、義理の姉に応援に来てもらったら、姉までダウンしました。

十河 ロタもノロも感染力が強いので、感染を広げない対処法も知っておきましょう。おう吐物がついた服やタオルなどはビニール袋に入れて密閉します。数日から1週間ほど放置するとウイルスが減ります。そして天気の良い日に、まとめて洗濯し、大量の水でおう吐物を洗い流してから、天日に干して日光消毒してあげるのが良いと思います。床に吐いた場合、塩素系漂白剤を1%ほどの濃度に薄めて、それを浸したタオルでそこをしばらく覆います。数十分置くとウイルスが死にますから、その後で処置をします。これらの作業をするときはマスクや手袋を付けるのがベストです。また、乾燥したウイルスが舞い上がり、それを吸込むことで感染することもありますので、処理をするときは換気を十分に。冬場は窓を閉め切りがちですが、5分ほど窓を開けると部屋全体の空気を入れ替えることができます。

Kさん 下痢のときのオムツの処理はどうしたら良いのでしょうか?

十河 オムツにはウイルスがたくさんいるので、念のためにビニール袋に密閉してゴミ箱に捨ててください。処理を終えたら、手をよく洗ってください。お母さん方は「赤ちゃんのウンチは汚くないから」と素手で触ったりしますが、感染性胃腸炎のときにはウンチにウイルスがいっぱいいますから、できれば、使い捨てのビニール手袋をして、素手で触らないようにしてください。手を洗うときは、石けんをよく泡立てて、指の間、爪、指の腹などを万遍なく30秒ほど洗い、手の脂と一緒に物理的にウイルスを洗い落とします。アルコールや殺菌成分が入っている洗浄剤でも、油断しないで同じやり方で入念に手を洗ってください。盲点になりがちなのが、手洗いのあとに使うタオル。タオルを共有していると万一ウイルスが残っているときに家族間で感染が広がりやすいので、タオルの共有をやめるか、使い捨てのタオルを使うようにしましょう。

ナトリウムやカリウムをしっかり補える経口補水液

Uさん 私のところには4歳になる娘がいます。1歳2か月になった2月、突然夜中に激しく泣き出して、朝まで下痢とおう吐が続きました。翌朝急いで病院へ駆け込んだら「感染性胃腸炎ですね」と診断されました。「しっかり休ませて、水分を十分摂らせてください」と医師に言われたのですが、母乳もミルクもお水も白湯も、少し飲んでも吐き出すか、下痢で出てしまう状態。ご飯も食べないので、朝晩つきっきりで水分を飲ませ続け、2日後にようやく症状が収まりました。1歳までほとんど風邪も引かない子供だったので、「大丈夫だろう」という気の弛みがあり、突然の発症で気が動転したのを覚えています。経口補水液を子供が飲んでくれないときはどうすればいいのですか?

十河 丸2日もつきっきりとは大変でしたね。経口補水液はその子の状況に応じた飲ませ方があると思います。激しくおう吐しているときに経口補水液をコップに入れて渡すと、どうしても一気飲みをしがちです。でも、一気に飲むとお腹に溜まってすぐに吐いてしまいます。激しくおう吐している最中は、スポイトやスプーンで1回5ccほどを1分から5分置きに飲ませてください。口の手前に経口補水液を入れるとペッと吐いてしまいますが、歯茎に沿って口の奥に入れてあげると吐き出さずに飲んでくれます。

Uさん 経口補水液はどんな温度で与えたら良いのでしょうか?

十河 暑い季節の発汗による脱水からの回復には、冷えた経口補水液を飲んでカラダを内側からクールダウンすることも大切です。でも、感染性胃腸炎で下痢をしているときに、冷たい経口補水液を飲むと下痢が助長される恐れがあります。温めすぎると飲めない子供が多いようですが、電子レンジで軽くぬるい程度に温めたものならお腹にも優しく、美味しく飲めると思います。スプーンで少しずつ与えられるゼリータイプもいいですね。

Uさん 夏場の脱水と冬場の脱水で、対処法は変わるのでしょうか?

十河 季節を問わず脱水では水分が失われますが、夏と冬では水分とともに失われる電解質の中身が違います。発汗によって脱水が起こるケースが多い夏場は、発汗に伴ってナトリウムが大量に失われます。ウイルス感染からくる下痢・おう吐による脱水では、発汗時と比べるとナトリウムに加えてカリウムもたくさん失われます。ですから、ナトリウムに加えてカリウムがバランス良く配合されている経口補水液が特に有効なのです。

済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 副部長 医学博士

十河剛(そごう・つよし)

1970年 東京生まれ。1995年 防衛医科大学校医学科卒。躰道七段教士。合気道二段剣道二段。日本小児科学会認定小児科専門医。日本肝臓学会認定肝臓専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・指導医。自宅敷地内に道場建設し、Sogo Budo Academy International設立。現在、子供達や学生達への指導を続けている。

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新型ノロウイルスにも慌てない。ウイルス感染からくる下痢・おう吐による脱水対策は経口補水液で!

更新日:2019/07/05

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