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高齢者がノロウイルスに慌てないために

ノロウイルスからの感染性胃腸炎の発生報告が多くなってくると、例年、高齢者の救急搬送のニュースがあります。近年ではウイルスの変異もあり、一度罹った人も抵抗力(抗体)がないために油断禁物です。ノロウイルスは、感染し発症すると急激なおう吐や下痢が続きますが、小児のノロウイルス対処法でも紹介したように、脱水状態を進行させなければ自然治癒するものです。高齢者のノロウイルス感染リスクを減らし、この冬を安心して過ごしていただくために、高齢者にとってノロウイルスのリスクは何なのか、家庭で出来る予防や対処方法について、かくれ脱水委員会の髙瀬委員に聞きました。必読のインタビューです。 監修:医療法人社団 至髙会 たかせクリニック理事長 医学博士 髙瀬義昌

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これで納得、安心。ノロウイルス対処法

ノロウイルス対処法 基礎知識(高齢者)

ノロウイルスからの感染性胃腸炎で覚えておくべ
きポイント

  • ◎ノロウイルスの感染情報があったら、生ものを控える
  • ◎予防は石けんでの手洗い、うがいが原則
  • ◎感染性胃腸炎は通常2週間以内に自然治癒する
  • ◎おう吐はせいぜい1〜3日(通常は1日程度)
  • ◎下痢はせいぜい1週間(通常は1〜3日)
  • ◎上記期間、脱水にならないようにするのが、治療の原則
  • ◎めまいなどがしたら経口補水液を活用する

ノロウイルスからの感染性胃腸炎での脱水対策のポイント

  • ◎おう吐のピークはせいぜい半日〜1日、その間での脱水対策
  • ◎下痢は無理に止める必要はない。その間の脱水対策
  • ◎経口補水療法が対処の基本(無い場合は、水分と塩分を摂る ※参照①)
  • ◎嚥下機能が弱まっている高齢者にはゼリータイプも試そう
  • ◎最初は1〜5分ごとに(おう吐が止まれば適量を)

Q1:ノロウイルスによる感染で重篤化する例をみると、高齢者の患者が多いよう です。これは何故でしょうか?

A1. 下痢やおう吐による脱水症が、深刻な事態を招きます

原因のひとつは、高齢者が脱水に弱いということ。カラダに占める水分量(体液量)は成人で体重の60%程度ですが、高齢者は加齢とともに水分の貯蔵庫である筋肉量の減少などがあり、体液量は50%程度まで減少しています。もともとカラダの水分が少ない上に、普段の食事量も減少している傾向がありますから水分や塩分の補給も滞りがちです。

ノロウイルスによる感染症の症状は、主におう吐や下痢です。おう吐や下痢では多くの水分とともに塩分などの電解質も失われますから、高齢者は脱水症になりやすいわけです。脱水によって、もともと持病のある方などはその症状が悪化することもあります。また、高齢者は嚥下機能も低下している方も多く、ただでさえ減少している食事や飲水を控える傾向にあります。脱水が嚥下機能の低下を進め、嚥下機能の低下がより脱水になりやすい状態をつくるという負のスパイラルを起こし、重篤化を招くことも多いようです。

Q2:ノロウイルスに対する高齢者ができる予防法などはありますか?

更新日:2014/12/25

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