生命の水・体液の「4つの役割」を知っておく

体液には大きく4つの役割があります。 さらに体液に含まれる電解質は、体液自体を保つ働きもあります。
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体液は細胞の内側にある細胞内液と細胞の外側にある細胞外液にわけられます。生命活動に必要な栄養素や排泄すべき老廃物は、細胞内液と細胞外液を行き来しています。
口から入れた食べ物や飲み物の栄養素は、消化管から吸収されて体内に入ります。栄養素は酸素とともに、細胞外液の血漿で組織まで運ばれ、同じく細胞外液の組織間液で一つひとつの細胞まで届けられます。
細胞外液で運ばれた栄養素や酸素を使い、細胞内液に満たされた細胞内では活動に必要なエネルギーを生み出したり、カラダを作るタンパク質を合成したりしています。その結果生じた老廃物や二酸化炭素などは、先ほどとは逆のルートを辿り、細胞外液で運び出されて、尿や呼気から体外に排泄されます。このように体液には、必要な栄養素や酸素を運び、不要な老廃物や二酸化炭素を運び出すという大事な働きがあります。
体液には体温を維持する働きもあります。
ヒトの体温は35度~37度前後に保たれています。カラダの代謝や酵素はこの温度帯で効率よく働きます。しかし、ヒトではエネルギーを生み出すときに過剰なエネルギーが産生されます。体液の存在によりこの過剰なエネルギーは汗として放熱されます。カラダの60%を体液が占めているおかげで、体温は一定範囲内にキープされやすいのです。
体温調節機能のように、周囲の環境が変わっても、内部の環境を一定に保つ仕組みをホメオスタシス(恒常性)と呼びます。体液はホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしています。
体液に含まれている電解質は微量ですが、カラダにとってはとても大事な役割があります。体液が減るとあらゆる生命活動が滞りますが、電解質の中でも特にナトリウムイオンはこの体液をカラダに保つ働きがあるのです。
電解質は、体液に溶けて電気を帯びているミネラルや微量元素。プラスの電気を帯びた陽イオン、マイナスの電気を帯びた陰イオンにわけられます。電解質はカラダのすみずみに分布していて、神経、骨、筋肉、臓器の機能を正しく保っています。
水分とともに電解質が失われると、体液が減って生命の維持に危機が迫ります。
電解質の分布は、細胞の外側を満たす細胞外液と細胞の内側を満たす細胞内液で異なります。たとえば、細胞外液でもっとも多い陽イオンはナトリウムイオン、細胞内液でもっとも多い陽イオンはカリウムイオン。その組成を踏まえて体液を補うことが大切です。
体液を適切な状態に保つことを「体液管理」と呼んでいます。これまではカラダの栄養状態を保つ「栄養管理」が注目されてきましたが、いま体液管理にもさらに注意を向けることが求められます。
栄養管理では、カラダに欠かせない6大栄養素(糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維)をバランス良く摂ることが必要です。しかし、6大栄養素を過不足なく摂取しても、体液が不足すると、6大栄養素は十分に機能しなくなります。今後は、体液管理の視点を健康維持に役立ててください。
更新日:2012/06/24