私たちは、感染性胃腸炎からくる脱水の危険性と、正しい対処法をお伝えします。

冬脱水SOS

かくれ脱水JOURNAL

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その②エコノミークラス症候群だけじゃない。災害時は脱水リスクが増えるという事実

西:熊本地震の特徴は、津波とかは来なかったので家は壊れても車が大丈夫な人が多かったということ。それと震度7が2回来たせいで、たとえ家が建っていても次の余震が不安で家には入れないという人が多かった。

:恐怖感ですね。それもあって車中泊をする。ストレスは想像を絶するものがありますよね?

西:新潟中越地震などと比べて、車中泊になった人の数が圧倒的に多かったと思うんです。

:熊本って一家の人数分、クルマを持っているでしょう。

西:結構バスとか電車とかはあるんですけど、クルマがないと生活が。

:結局、クルマが便利という感じで、おまけに軽自動車が多い。それが一斉に避難所に並ぶから。

西:ほんとに各小中学校のグラウンドは、車中泊でもう他のクルマが入れないくらいでした。

西:その結果が、肺塞栓(エコノミークラス症候群)。4月16日に本震があって、その場はたくさんの人が車中泊になって、17日の朝動き出した途端に肺塞栓という人がすごく多かったのです。避難所にいなくとも、夜に子どもが家にいられないという人が結構いる。それで車中泊がものすごく多くなって。今回、急きょ調べて分かったんですけど、うちの救急外来を受診して「脱水症」という診断が付いた人の数です(表3)

入院にはならないんですけど、脱水症で症状が悪くなってきている人。多いときは通常の5倍くらいになった。脱水患者がものすごく多くなるということですね。

:熊本に限らないと思うけど、災害時に水道が止まれば、生活用水が不足するでしょう。だからあえて水分を控えめにする人もいるし、気が動転しているから水分補給にまで気が回らない人も多い。災害時は皆が脱水気味なんだと考えていい。もちろん、これは大きなストレスでもあります。ちょっとしたストレスで血栓はできやすくなるわけですから。肺塞栓の要因のひとつでしょう。

西:やっぱり不安感の中で生活をするとすごくストレスが大きいですよね。ストレスというのはカラダにとっては全部悪いほうに働くので。最初17日の朝に続けてきた人は、わりと重症で典型的だったんです、呼吸困難。

:いきなり呼吸困難。まさにキラーストレスですよね。

西:動き始めて呼吸困難ということで、当然肺塞栓を疑うような症状が。すごくニュースとかになった後は、不安感が強くてちょっと脚が腫れているんだけどというような人が結構多くなったのです。

:なるほど。あの時は、ものすごい勢いでメディアがエコノミークラス症候群を扱ってくれましたからね。

西:メディアを通じてリスクや予防法を報道してもらって。外来に来る人に車中泊をしましたかと聞くと、ほとんどの人が長い短いはありますけど経験している。エコノミークラス症候群は知っていますかと言うと、ほぼ全員が知っていました。だから今回マスコミを通じての大々的な啓発はかなりの効果があったのじゃないかと思います。

:それは、もう明らかですね。ただ、どうしてもああいうときメディアは、クルマの中での生活から、とにかく「運動、運動」という。軽い運動をすればいいというのがものすごく浸透したけれど、水分補給つまり脱水が隠れていることに関してはそれほど広まらなかった。運動と水分摂取。どちらも大事ですよね。

西:そうです。もうひとつ脱水状態になりやすいのは、避難所でのトイレ問題があります。やっぱりみんなトイレに行きたくない。気も使いますし。そうすると水分摂取が減って脱水というのは、ほんとにどこでも誰にでも起きる。

:なるべくトイレに行かないように、なるべく水分を摂らないようにするというのは、そこに大きな矛盾が既に生じているんです。こういう状態になったら基本的に全体が脱水に傾いている。このように、災害時は脱水が増えるというのは事前に認識をしていましたか。

西:僕は恥ずかしながら今回思い知ったことです。

:誰も経験しないからですね。災害時は基本的に脱水が増えるということを世の中の人は知らないということですね。だから僕は思ったんだけど、高齢者ならおむつをはかせてもやっぱり水分を。高齢者はいろいろと持病があるし、もともといろんな体調の悪い方がますます体調を崩しているわけだから。

その③被災地における感染症も水不足から。まず、お風呂に水を溜めること

更新日:2019/07/05

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