私たちは、感染性胃腸炎からくる脱水の危険性と、正しい対処法をお伝えします。

冬脱水SOS

かくれ脱水JOURNAL

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その④3日を目処に考えよう、そして災害時の備えとしての経口補水液

西:やっぱり今回感じたのは、最初の3日は自力でいかなきゃいけないんです。それは病院もだけど、個人もそうだと思います。3日あれば流通が回復し補給も少しずつ届くようになる。そこの3日を自力でどうやって乗り切れるのかというところが一番のポイントだと思います。

:3日ね。

:最初はエコノミークラス症候群を心配していて、その次は感染症もどうかと心配をして、しまいには季節的に暑くなって熱中症まで、もう三重苦ですよね。災害のときは、どんどんとこういうふうに、やっぱり全部それが脱水に関係してくる。脱水の対処として使う経口補水液も重要ですね、今回は相当活用されたと聞きます。実際に現場としてはどんな感じで使われたのですか。

西:今回は、多くの経口補水液を寄付していただいたり、病院としても入手しました。脱水対策ということではなく、入院の患者さんとかに食事のときに付けたりして、治療を補うためです。でも、しばらくすると、スタッフにも何本ずつと分けて、最後のほうは家に持って帰りたい人は何本ずつぐらいまで持って帰ってもいいですと、いわばスタッフの体調管理に使わせてもらいました。

:働き通しですからスタッフもバテてきますよね。スタッフも脱水ぎみだったでしょう。ずっと話を伺ってきて、まだまだ避難をしている人もいるし、最近は5月なのに暑いじゃないですか。今度は熱中症の心配まで出てきた。

西:今日も30度(対談日は夏日)を超えていますね。加えて、確かに先ほど申し上げたように疲れが蔓延しているので、やっぱり。

:疲れと精神的なストレスですね。先ほども話題になりましたが、ストレスほど悪い影響を与えるものはない、ストレスだけで血液はドロドロになりますから。

:さっき西先生が最初の3日にいかに自分でどうするのかが大切といわれました。個人でも、そのための知恵と準備を日ごろからと。

西:家族が何人だったら経口補水液は何本と。

:実際に全体として水は貴重だという考えがありますから、やっぱり水分摂取が少なくなります。このような災害時では、みんなが緊張しまくっているときは、水分として経口補水液を摂ったほうがいいぐらいの気持ちでいたほうがいいのではなかろうかと・・・。

西:今度の経験でこれは必須だと考えています。水をもらってきたらそれは生活用水に使ってしまって、飲むということにいかないかもしれないので。それが経口補水液だったら飲みますから。

:他に回せないから。そういう面ではああいう製品のほうが分かりやすくていいのかもしれないですね。

:経口補水液に関しては、日ごろから家族分×3日分、つまり4本×家族分ぐらいを備蓄しておいたほうがいい。それは点滴4本を1人分として持っておくようなものですから。

西:それに食べもの。それも3日分自力で水なし火なしで食べられるものがあれば心の余裕はあります。やっぱり食べるものがないというとものすごく気持ち的に。

:それはまた余計にストレスになりますね。

西:それこそ固形の栄養食品でもあれば。やっぱり水がないと駄目、火がないと駄目というのはかなり制限が掛かることなので。それもやっぱり3日分あればいいです。だから、その習慣をつくって欲しいと思います。

:3日分あったら、何とか生き延びられる。災害時の備えとして防災キットもありますが、それに加えて、これからは3日間を安全に生き抜けるための備えをパッケージとして考える。それらが、地震でいろいろな家具が倒れても取り出せるところに置いてあるといいですね。

(資料提供:社会福祉法人済生会熊本病院「熊本地震への対応とこれからの課題」より)

社会福祉法人 済生会熊本病院副院長
脳卒中センター 脳神経外科部長
教育・研究部長
熊本大学・徳島大学臨床教授

西 徹(にし とおる)

(2016年取材当時)

雪の聖母会聖マリア病院 臨床・教育・研究本部長

靍 知光(つる ともみつ)

現在、日本外科学会 専門医・指導医、日本小児外科学会 専門医・指導医、日本静脈経腸栄養学会 認定医・指導医。他に日本外科代謝栄養学会評議員、日本腹部救急医学会評議員・編集委員、日本小児救急医学会評議員・ガイドライン委員、日本外科感染症学会評議員、日本機能水学会理事などを務める。専門(研究)分野は、小児・新生児外科、周術期代謝栄養学、経口補水療法(ORT)の臨床応用、小児胸腹部外傷の治療。著書に『新臨床外科学-小児悪性腫瘍(共著)』(医学書院)、『小児救急のストラテジー(共著)』(へるす出版)、『経腸栄養バイブル-小児(共著)』(日本医事新報社)など

インタビュー:想定外の出来事に、被災者の健康面を徹底フォロー  熊本市健康福祉局の挑戦

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その③被災地における感染症も水不足から。まず、お風呂に水を溜めること

更新日:2019/07/05

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