熱中症と脱水症に専門家が発信する正しい情報を!隠れ脱水JOURNAL

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日常的に脱水にリスクが高い高齢者の、
在宅ケアについて

通院困難、退院後の療養、認知症などで在宅ケアが必要な方は、 さほどの暑さがなくとも、日常的にかくれ脱水状態になりやすく、 脱水症状が進行しやすい“脱水弱者”です。 脱水から「せん妄」を起こすと認知機能の低下にもつながり、 本人と介護者の負担がさらに増えます。 かくれ脱水の予防法を知り、最大限の対策をしてくだい。 参考資料:高齢者の脱水症とせん妄・髙瀬義昌 著/中央法規出版「おはよう21(2011年8月号)

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夏だけでなく、屋内でも脱水になってしまうという「かくれ脱水」になりやすい在宅療養者。かくれ脱水リスクを評価しておきましょう

寝たきりなどで医療機関などに通えない「通院困難者」、退院後に自宅で療養している方、歩くことが困難な障害のある方、認知機能に不安がある方は「かくれ脱水」から熱中症になりやすい傾向があります。

高齢であるだけで体液の量が減少し「かくれ脱水」のリスクは高まりますが、ことに、一人暮らしである、家族と同居していても日中は独居になる、また食欲がないなどの人は「かくれ脱水」の高リスク者だと認識してください。こうした方が、だるさを感じたり、足がつる、頭が痛いといった症状になるとき、すでにかなり脱水状態が進行していると思われます。

とくに認知機能が落ちている方は、温度に対する感度が落ちて暑さを平気に感じがちです。そういう方は、エアコンのリモコン操作をできない場合もあります。また、閉めきりになりがちな部屋で、高齢者のことを考えて窓ぎわの日当りのいい場所へベッドを設置すると、その横にあるカーテンが熱を持ち続け、秋でも30度を超える部屋になることがあるなど、脱水へは逆効果になる場合が多いようです。部屋の環境を知るために部屋には温度計・湿度計が絶対に必要ですし、ときおり空気を入れ換えるほか、ベッドは窓から少し離し、枕元など手の届く場所に水分を置くなど、家族や介護者が、在宅療養者のかくれ脱水のリスクを正しく評価し、一年を通じて脱水に対する対策をおこなってください。

■在宅療養者のスクリーニング → ■脱水症を疑う要因と症状

  • 高齢者である
  • 睡眠障害がある
  • 直射日光が当たるカーテンの側で寝ている
  • 認知機能が低下している
  • 抗精神薬を処方されている
  • 抗精神薬を処方されている
  • 声がきちんと出ない(いつもに比べて)
  • 肌にツヤがなく張りがない
  • 足がつる
  • 足がつる
  • 食欲がない

「高リスク者で、足がつる、頭痛がするという症状を訴える場合、救急車を呼ぶか呼ばないかの瀬戸際だと覚悟ください。高齢者がしばらく入院を必要とするなど、安静を強いられる場合、筋力と認知機能が落ち、認知症が進む恐れがあります。そのためにも事前のかくれ脱水対策が非常に大切。食欲がないときは、おかゆと梅干しでもOK。おかゆから水分と糖分、梅干しから塩分とクエン酸が摂れるからです。脱水と疲労の対策になります。また高齢者の転倒予防に筋力トレーニングが推奨されていますが、筋力トレーニングで筋肉を増やすと脱水予防にもなります。筋肉は体内で水分と塩分などの電解質を貯めるタンクになってくれるからです。医師と相談して無理のない範囲で、筋力トレーニングを行うことも大切だと思います」

たかせクリニック 髙瀬義昌理事長

経口補水液を常備する。かくれ脱水を進行させない方法です。

更新日:2013/11/24

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