私たちは、深刻な脱水状態を防ぐことで熱中症で搬送される人をゼロにしたい。

STOP 熱中症 教えて!「かくれ脱水」委員会

かくれ脱水JOURNAL

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    防災の日特別企画: 夏の暑熱環境下での作業では何が大切?
    なるほど!京都市消防局の熱中症・脱水対策

    火災現場や被災地で、重装備をまといながら救助活動に従事する消防士。救助活動を可能にするための普段の訓練も、まるでアスリートのような負荷の高い運動です。大量の汗により水と電解質を失う消防士の身体は、極度に高い脱水リスクがあるといえます。
    毎年9月1日は防災の日。かくれ脱水ジャーナルでは、防災の日にちなみ、最前線で活動する消防士が、特に猛暑での活動に伴う熱中症や脱水リスクに対して、普段からどのように対策をとっているのかを聞きました。18年7月の西日本豪雨での活動を振り返りながら語ってくださった、京都市消防局の消防士長 五明寛和さんのお話は、なるほど!目からウロコの脱水対策の基本がありました。

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    Q: 夏へ向けて、特別な脱水対策があるのでしょうか?

    暑熱馴化をいち早くやって、汗をかける身体をつくる。

    京都市消防局総務部総務課 消防士長 五明寛和

    体調管理は当然ですが、暑さに耐えるための身体づくりをやっています。そのために、まず、毎年、暑くなってくる前の6月までに、汗をしっかりかき体温調節ができる身体をつくるよう、暑熱馴化をいち早くしておくことを心がけています。現場の消防隊は、4人一組もしくは5人一組です。その隊長が筆頭となり、災害現場を想定した訓練や日頃のトレーニングの中で、徐々に運動負荷を高めていきます。例えば、着衣についてもTシャツ、長袖、防火衣を着て、というように。

    また、知識として知っておくために、講師を招いて、熱中症や脱水症状のメカニズムについて御講演いただき、現場や訓練でその知識を役立てるようにしています。

    Q: 防火衣は、脱水リスクが高いのでは?

    防火衣では長時間作業は不可能、休息と水分補給をルールづけています。

    防火衣は、火災のとき炎や煙から身体を守るだけでなく、放水した水が熱湯になって降りかかる際にも身体を守れるようになっています。だから通気性や透水性がない、ぶ厚い生地の服。これを着て空気呼吸器をかついで激しい活動をしますので、どんな隊員でも長時間の活動は不可能です。だから、夏場の火災現場では交替部隊を用意し、ローテーションを組んで対応しています。交替した隊員は、人員輸送車などで、しっかり休息をとり身体を冷やして水分を補給し、次の活動に備えるのです。現場での隊員は、「休んでいられない」、という意識になるものですが、現場に応じてこのローテーションを組み、交替しながら、休んでスポーツドリンクなどの水分補給と身体を冷やす、という指示と体制は、指揮本部から各隊長まで徹底しています。

    Q:西日本豪雨での災害救助活動のときは、どのような熱中症・脱水対策をしたのでしょう?

    作業効率を落とさないために、作業時間を守り、水分補給ローテーションを組む。

    西日本豪雨では、通常の災害現場と同じように、スポーツドリンクの粉末を利用して、ペットボトルとジャグタンクを寝泊まりできる宿営地に設置し、水分補給を徹底してもらいました。ただ、土砂災害ですから崩落現場へは、休憩できるようなバスや大きな車両を持っていけず、隊員からは、現場で素早く効率的に水分補給できる体制を整えてほしいという声がありました。したがって、宿営地とは別に、現場作業の後方支援として、現場近くに隊員が休める休憩所を作り、そこでスポーツドリンクのジャグタンクやクーラーボックスを用意し、隊員にも携帯用に500mLのペットボトル飲料を配分。また活動では指揮隊長が隊員の様子を見ながら、状況に応じて活動時間を30分から15分に変えたり、ローテーションを2チームから3チームに変えたりして対応しました。非常に暑い日が続きましたので、途中からはクーラーボックスには経口補水液OS-1を投入しています。これは非常に役に立ったと聞きました。

    消防士は、いわば暑熱環境での活動のプロ。そのプロの方々が、夏の暑熱環境下での、ハードな現場活動を支える身体づくりのために、いち早く暑熱馴化した身体をつくり、効率を考えた作業時間と共に休息時間を大切にするという事実は、当然とはいえ、やはり新鮮。最前線での活動を例えば30分程度とし、休息する際は、身体を維持するための水分補給と身体の冷却を、よりよい活動への支えにする。五明氏のお話には、汗をかくことの多い活動や仕事をする人たちすべてに、猛暑における行動計画へのヒントがありそうです。

    京都市消防局に学ぶ熱中症や脱水対策まとめ

    • ①暑熱馴化は暑くなる前の6月までに、徐々に着衣の負荷を上げながら
    • ②専門家の指導による熱中症に関する知識習得
    • ③最前線での活動は30分以内のローテーションで
    • ④休憩時間と休憩場所の確保とルール順守の徹底
    • ⑤休憩時の確実な身体冷却と水・塩分補給

    更新日:2018/08/31

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