熱中症と脱水症に専門家が発信する正しい情報を!隠れ脱水JOURNAL

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Q3:レースに参加する際の心得や、レース中の心得には、どのようなものがありますか?

A3. 電解質を含んだ水分を摂り、異変を感じたらレースを止める意識を持つ。

走っているときの給水は、1時間あたり400~800mlが目安です。体型やランナーの走りの質などの個人差や環境的な条件によって若干異なりますが、適量を選択(5kmごと給水で)して水分を摂ってください。

気温が高い日ならとくに汗をかきます。脱水対策としては、水分だけではなく電解質の補給(特にナトリウム)と糖分が必要です。給水では、一般のスポーツドリンクよりも塩分を約2倍、糖分を約半分に調整した吸収の早い経口補水液(OS-1など)が有用でしょう。

ランニングレースの時、脱水のケア(補水)には何を飲むか?

電解質を含まない水の飲みすぎによる弊害もあります。水の飲み過ぎで血中ナトリウム濃度が低下して起こるのがいわゆる「水中毒」。不安感、めまい、頭痛などになる「虚脱」という症状を起こしますが、症状が脱水症状に似ているので、まだ水が足りないという勘違いを招きやすく、水をあらたに飲んで症状を悪化させることがあります。さらに重篤になると肺水腫、脳浮腫から死に至ることもあり、注意が必要です。

体調に変化を感じたら中止することもいとわないという意識をもっていてほしい。意識がある程度しっかりしていれば「今日はちょっと体調がおかしいな」という自覚があってもレースを中断しないで頑張って走ることがあります。でも、意識がもうろうとしてきたら判断力が低下してしまう。めまい、筋肉痛、けいれん、しびれ、顔面蒼白、呼吸が荒くなったら走るのをやめて、涼しいところで休み、水分や塩分を補給しましょう。症状がひどくなればレースを中止してドクターを探したり、病院へ行くべきです。

Q4:疲労困憊でゴールした直後は、水分補給に注意点がありますか?

A4. ゴール後は、体重減少の70〜80%の水分補給を。

ゴール後には、すぐに発汗による体重減少を測り、その減少量の70~80%の水分補給を行いましょう。

ランニング後のビールを楽しみにしているランナーも多いでしょうが、直後のビールはNGです。アルコールは利尿作用が多く水分排泄が促進されます。ランニング直後は体が水分を欲しているにもかかわらず、水分を喪失します。なるべく電解質などを含んだ吸収の良い水分を補給してからにしましょう。

Q5:日頃の食生活でも、ランナーの脱水対策につながることがありますか?

A5. 食事からの水分補給を心がけましょう。

日頃から一日に補給する水分の半分は、食事から摂ることを心がけることです。スープ、味噌汁は水分とともに適度な塩分も摂れます。野菜、果物などにはミネラルも多く含まれており、旬で新鮮なものを選んで食べたいですね。

また、夏は特に冷たい食べ物を選びがちです。ざるそば、ひやむぎ、そうめん、アイスクリームなど糖質の多い食事のとり過ぎは、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足するバランスの悪い食事となりやすく、胃腸の冷えは消化吸収が悪くなり夏バテの原因になります。ランナーは、肉、魚、卵、大豆などのタンパク質をしっかり摂取し、しょうがやにんにくなど、体を温める食材を含んだ食事を一日一回は摂るよう心がけることをおすすめします。

Q6. 中村先生は、日医ジョガーズ*を通じて、レース中の救護医となるランニングドクターとしてさまざまなレースにも参加されています。救護医として、ランニングをする方々へお伝えしたいことはありますか?

更新日:2014/10/27

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