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中村 一般的なことですが、普段からの食事は、いろいろな食材をバランスよく摂ることが基本。とくに女性は、走ることで貧血になりやすいので鉄分の多い食材を意識的に多く摂りましょう。便秘気味の方は宿便があると走りにくいですし、大腸がんの原因にもなりかねませんので、繊維質の多い食材を多く摂ってほしいのですが、レース前はガスを発生させ腹痛の原因となるので大量には摂らないこと。
徳本 よく30kmの壁といわれるのが糖質エネルギーの使い方です。カラダの中では糖質と脂質が同時に使われているんですが、30kmあたりで、糖質エネルギーが枯渇するんです。だから、走っていてエネルギー切れになるときは、糖分を含むスポーツ飲料を飲みますね。
本気のランナーなら、いかに脂質エネルギーを使って走れる割合を高めていくかというのが重要。その為に、普段から糖質を制限した食事をすることも必要です。いわばカラダのエネルギー燃焼を脂質回路にしていく。糖質エネルギーを残しておけるカラダにしていくわけですね。
中村 なるべく脂質だけで走れるように普段から食事を工夫することはいいでしょう。ただ、辛いからね、市民ランナーなら楽しくするためのことを優先したほうがいいかもしれません(笑)。タンパク質を摂ることは重要。筋肉量や血液量も増やしてくれますし。もっとも、医者としては、腎臓の悪い方はタンパク質の摂り過ぎはよくありません。無理なくカラダと相談しながらにして欲しいと思います。
そして、レース3日前からは,糖質中心の食事に切り替え、脂質を控えめにしたカーボローディングでカラダにエネルギーを蓄えることも覚えておくといいですね。
中村 最近は、吸湿・速乾性のあるウェアにいいものが出ています。秋冬とはいえ走っていると体温が上がるし、夕方になると急に気温が下がることなどもあります。たとえば、アームウォーマーやレッグウォーマーなど、ある程度、調節の利くウェアを準備しましょう。天候によっては、ウェストポーチなどを使って、雨用のウェアを携行することもお勧めします。
徳本 僕も、アームウォーマーやレッグウォーマーは、雨が降ったりするとしますね。保温対策をしないと筋肉がつることなどもありますし。
中村 レッグウォーマーはいいですよ。脚の稼働域を制限しないし、いろいろな素材やデザインのものが出ています。
徳本 シューズは、フラットかフォアフットといわれる脚の指の付け根あたりで着地する走り方をするトップランナーは、地面からの反発が欲しいのでソールが薄いものを選ぶようです。かかとから着地するヒールストライクという走り方をする一般ランナーの方は、膝や関節に負荷をかけないソールが厚めのシューズを選んだほうがいいでしょう。完走率が高くなります。
中村 ゴール後も、より有効な水分補給として経口補水液が良いですが、 レースでダメージを受けた筋肉を修復するために、できるだけ早いタイミング(できれば30分以内)にアミノ酸(BCAAを含んだもの)を摂ると筋肉痛が少なくて済みます。また、糖質、乳タンパク質(ヨーグルト、バナナと牛乳など)は、筋肉量や血液量を増やすといわれていますからお勧めします。
*BCAAは、Branched Chain Amino Acidsの頭文字。分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸と呼ばれ、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンのこと。
更新日:2019/07/05