私たちは、深刻な脱水状態を防ぐことで、熱中症で搬送される人をゼロにしたい。

STOP 熱中症 教えて!「かくれ脱水」委員会

かくれ脱水JOURNAL

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登山やトレッキングでの脱水・熱中症
その予防と対策

山は平地とは異なる脱水になりやすい環境。「かくれ脱水」状態が思わぬ山岳事故を引き起こすこともあります。

山岳医療の立場から、 登山やトレッキング時の脱水症の予防と対策について、教えて!「かくれ脱水」委員会の大城和恵先生が、注意点や脱水対策について語ります。

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そもそも山歩きは脱水症になりやすい

大城委員は「山に登ると多かれ少なかれ『かくれ脱水』になります」と指摘します。カラダの水分はつねに失われていますが、とくにカラダに強い負担がかかる登山では知らない間に多くの汗をかき、呼吸が荒くなって呼気から失われる水分(不感蒸泄)が増えるからです。

さらに、途中でトイレに行かなくても済むように水分摂取を控えたり、荷物を軽くするために携行する水分を制限することが、脱水症のリスクを高くします。

また、水を持っているのに、立ち止まって仲間との歩行ペースが乱れることを避けるために水分補給を怠る人も多く、こうした気づかいが一層脱水状態を進行させてしまうことがあるようです。

最近は、登山やトレッキングだけでなく、登山道を走るトレイルランニングが若い世代でブームになっています。荷物をできるだけ軽くしてペースを上げるトレーニングをしている競技志向の高いランナーはとくに脱水症に注意すること。暑い日は熱中症に進行することもあります。

荷物を軽くするために携行する水分を制限しますし、トレイルランニングは通常の登山より発汗量が多いからです。

山で脱水が起こりやすい5つの理由
  • ・汗をかきやすい
  • ・呼吸で失われる水分が多い
  • ・トイレ回数を減らすために水分摂取を控える
  • ・携行する水を減らして荷物を軽くする
  • ・こまめな水分補給を怠る

集団から誰かが遅れ始めたら要注意です

「山でカラダがだるいと感じたときには、単なる疲れではなく、脱水のサインだと考えてください」と大城委員。ほかにサインとして、「歩いているときに足がつる人は、水分を補給しているつもりでも、汗で失う塩分の補給が足りていない可能性が。

また、脱水が進むと食欲が落ち、疲れて水分補給が億劫になり、脱水状態をそのままにしておくと重篤な脱水症になる恐れがあります。周囲の人も注意してあげること」などを挙げます。

山歩きで疲れたり、筋肉疲労で脚がつったりしているのではなく、脱水を疑うことが山では必要なのです。

グループで山に入る場合、途中で元気がなくなったり、ペースが落ちたりする人が出てくることが少なくありません。そういう人はいち早く脱水状態になっていることが多いので、みんなで休みを取って水分補給をすべき。

「山という特殊な環境では、誰か一人が脱水症になるだけで、グループ全体の行動力が低下。夏山でも、それが遭難につながる恐れもありますから、気をつけてください」。

たちくらみやめまいといった症状は脱水症がかなり進行しているサインでもあり、高山病のサインでもあります。高山病は一般的に標高2,500m以上で起こる病気。両者は誤解されやすいのですが、標高2,500m以上では高山病への注意が必要なのに対して、高い山でも低い山でも脱水への対応は重要です。

山での「かくれ脱水」を見つける6つのサイン
  • ・何となくカラダがだるい
  • ・足がつる
  • ・食欲がない
  • ・ペースが落ちて集団から遅れ始める
  • ・いつもよりも尿が少ない
  • ・イライラする

平地以上に〈山では予防を重視〉してください

更新日:2019/07/01

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