脱水症は自分ではなかなか自覚できないもの。集団から遅れるなど、先に挙げた脱水症のサインが出ていないかを仲間同士で互いにチェックすることも大切です。脱水症や熱中症が疑われる場合はすぐに対策を取ります。
まず、意識がしっかりしていて自分で水が飲める場合、経口補水液のように水分と塩分と糖質が入ったものを最低1ℓ飲んでもらいます。同時に、日差しが避けられる涼しい場所に移動。カラダを横にして、ザックなどに乗せて足を高くして安静にし、脱水で少なくなった血液を心臓に集めます。
さらに手足など露出しているところに水をかけ、タオルなどであおいで水を蒸発させて気化熱を奪い、体温を少しでも下げます。飲むわけではないので、かけるのは沢の水でもOK。
「30分ほどで回復して普通に動ける場合は予定通りに行動しても良いと思いますが、それ以上回復に時間がかかるときはそばに誰かがついて経過を観察しながら、下山します。山ではいちばん弱い人に合わせて行動するのが鉄則ですから」。と大城委員。
手足が動かない、意識がもうろうとするなど、脳と神経へのダメージが疑われる場合は、携帯電話などですぐに警察に救助を要請することです。ヘリコプターによる救助でも、到着まで40分以上かかることがあります。その間は、上記のような措置をして経過を観察し、水を飲ませてもむせるようであれば、中止します。
北海道大野記念病院 医学博士
2010年9月 国際山岳医 UK Diploma in Mountain Medicine(UIAA(国際山岳連盟)/ICAR(国際山岳救助協会)/ISMM(国際登山医学会)認定)日本人初の資格取得。 同年 5月 日本登山医学会認定山岳医研修会実行委員兼講師に就任。 同年12月 心臓血管センター北海道大野病院・附属駅前クリニックにて登山者外来開始。 2011年北海道警察山岳救助アドバイザー医師に就任。
ほかに、 Wilderness Medical Societymember、日本登山医学会評議委員、日本登山医学会認定山岳医判定委員、日本登山医学会First Aid in Mountain Rescue 委員長、日本循環器学会認定内科専門医、日本内科学会認定内科専門医、日本リウマチ学会認定専門、日本心臓リハビリテーション学会認定指導士、日本医師会認定産業医
山岳医療情報
更新日:2019/07/01