熱中症と脱水症状に専門家が発信する正しい情報を!隠れ脱水JOURNAL

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どのような対策をとるべきですか?

富和 特にレース中は発汗により不足したものを速やかに補給しないといけません。汗は塩辛い(しょっぱい)ですね。ということは水分と一緒に塩分=電解質を消費していると考えないといけません。だから、電解質を含んだ飲料を補給する必要があるのです。

水分補給に関しては、レース後に脱水率(%)が3%を超えると体温(直腸温) が39度を超えているという報告があり、昨今では脱水率を2%未満にすることが指標になっています。ただし、その日の体調や環境から発汗量は大きく左右されるので明確な量を決めるのもまた難しいですね。

日頃のトレーニングの前後で体重測定を行う習慣をつけ、発汗量(体重減少量)の目安をつけておくのもよい方法だと思います。厳密にどれだけの量をというよりも、渇きに応じて、渇きかけに摂取するというのが理想的です。一気に飲むと、急に電解質が体内に入って、電解質のバランスを崩す原因にもなります。飲み過ぎも怖いのですよ。一気に飲むのではなく、回数を多くして、身体が脱水になるのを予防すべきです。

逆に、電解質をあまり含まない水分補給が続くと、結果的に水分の補給過多になり、体液が極度に薄くなります。こうなると体内の電解質が薄まるのを阻止する動きが働いて、補給した水分が吸収されずに尿にたくさん出ていくという悪循環に陥ります。これは、特にレース後に水分摂取してから遅れて発生することが多いので、注意しないといけません。また過度に水分のみの補給を続けていると、極度の電解質濃度の低下(低ナトリウム血症)で死亡することもあり、レース後の補給も水分と電解質を適切に補給し、腹8分目という考え方が望ましいと思います。

「脱水率(%)」=(練習前体重-練習後体重)/練習前体重×100

山下選手のチームでは、そうしたリスクに対してどのような対策を立てられていますか?

山下 チーム内では脱水症状および熱中症については最近やっと認知するようになってきました。対策としては、トレーニング中から十分に水分を摂取するよう心がけています。特に暑い日には運動前から十分な水分補給に努めます。また、ミネラルの摂取も忘れてはいけません。レース前には前もってミネラルが含まれるサプリメントを服用する選手もいます。

オーバーヒートする前にしっかり対策しておくということが大事だと指導されています。頭や体に水をかけたりします。特にレース中は速いスピードで走るので、風を受けて体温の上昇を防いでいますが、夏場のヒルクライムレースなどでは、スピードが遅くなって風を受けられないためオーバーヒートしてしまいます。そんな時には、カラダに水をかけ気化熱の効果で体温の上昇を押さえることが有効です。私は夏場、レーススタート前によく行いますね。ウォーミングアップの時点で、すでに体温が上がっていますから。レースのみならずトレーニング中にも必要と感じれば自転車には給水用のボトルが取り付けられるようになっていますので、その水をかけます。

富和 レース中に体温を下げるには汗をかくことが中心になると思います。そのためにも水分補給を続けることが必要なのです。それでも足りないときには、水をかけて気化熱の効果を高めて体温を下げるという方法があります。レース中に止まって身体を休めるわけにはいきませんからね。

ロードレース流、ウェアと経口補水液の活用法

更新日:2019/07/05

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