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これを読んでおくと、自分に置き換えられる? 体験者レポート・その3
フィニッシュ直後の水分補給中
J)ハードなレースです。フィニッシュ後はホッと解放されたいものですが、脱水対策については、これで終わったと思わずに、レース後もカラダにとってのレースは続いていると教えられたのですが、フィニッシュ後は何を飲みましたか?
小)フィニッシュ直後は雨で体が冷え切っていたのですが、私は、シャワーを浴びに行くまでの間に経口補水液を2本飲みました。レース後の水分補給の大切さを知っているので、実践しています。そして、普段から運動後に栄養をすぐ摂らないと疲労が回復しないと指導されていますので、フィニッシュ後にとっておいたパンをすぐに食べました。
西)フィニッシュ直後は、ボトルに残った水と栄養ゼリーを2本摂取しました。フィニッシュ後の水分補給と栄養補給は、カラダのメンテナンスにつながりますからね。
J)他に気をつけていることはありますか。
小)僕はまずゆっくり寝て休息します。普段もレース後はよく眠ります。翌日も予定を入れず、ゆっくりすることが多いです。
西)帰宅後は、睡眠の前にストレッチを必ずします。ストレッチをしておくと、翌朝の疲労の感じ方が全然違うので欠かしたことはありません。
J)どれも大切ですね。皆さんは、普段から富和先生のアドバイスのもと、ロングライドのレースに臨んでいらっしゃるので、実体験のお話の中にも、やっぱり参考になることが多くありました。本日は、レース後にお時間を割いて頂き、ありがとうございました。
Dr.富和アドバイス③
レースが終わった後も脱水対策は大事です。暑い環境にいて、レースが終わった後は脈拍が速いので、体は活発的な状態になっている。また、日焼けによって体が火照っていて炎症を起こしているので代謝が進んでいる。とりあえず水分補給を行なうことが大事です。レース直後は、脚は止まっていますが、カラダはレースのときと同じ状態。レースは終わっている、でも息が上がっていて脈も早い、発汗もしています。カラダの中ではレースは終わっていないのです。30分〜1時間ぐらいは、体の中ではレースをやっているな、というつもりで、レース中と同じように、水分、電解質をとってください。そういう自覚を持ってもらいたいです。
あと、レース後の爽快感にひたる方がビール片手に祝勝会をやってらっしゃいますが、レース直後のアルコール摂取は控えられたほうが良い。大きな大会では、会場の中に診療所があるのですが、毎年、レース後に急性アルコール中毒で運ばれてくる人が1〜2人います。レースで汗をかいて脱水状態になっているところにアルコールがカラダに入ると、カラダの中のアルコール濃度が急激に上がるのです。さらにアルコールを飲むと利尿作用で水分が放出されてしまうからです。
たっぷり休息も必要。レース後、遠方に帰る人は高速道路の休憩所などで、休憩時間を多めに取るべきだし、運転を交代してもらったりして疲労を分散したほうがいい。家に帰ったら、十分な睡眠をとることです。これがいち早い日常への回復に役立ちます。
社会医療法人田北会 田北病院 整形外科
1981年6月10日 奈良県生まれ。岩手医科大学 医学部医学科卒。日本整形外科学会・専門医 UCI・国際自転車競技連合エリートナショナルコミセール(国際審判員) UCIエリートナショナルコミセールは2016年に取得。この年、日本人が初めて5名合格した。月刊バイシクル21編集委員 著書「こちらドクターカー」(ライジング出版)
体験者1:小渡健悟 選手
シエルヴォ奈良所属
プロロードレーサー
140km MEN 19−34カテゴリー出場
体験者2:西沢倭義 選手
シエルヴォ奈良所属
プロロードレーサー
140km MEN 19−34カテゴリー出場
体験者3:高梨治人
かくれ脱水JOURNAL編集
アマチュアロードレーサー
70km MEN 50−54カテゴリー出場
(2016年取材当時)
シエルヴォ奈良とは・・・・
2010年設立の、奈良をベースとして活動する自転車ロードレースチーム。CIERVOとは「牡鹿」の意。国内レースに積極的に参戦し、14年度はランキング10位で終了。奈良を中心に、自転車を通じた地域貢献も積極的におこなっている。
更新日:2019/07/05