熱中症と脱水症に専門家が発信する正しい情報を!隠れ脱水JOURNAL

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サイクリストのための特別対談 知っておきたいトレーニング時の脱水

自転車のブームが続き、いつかはロードレースを! と、本格的なトレーニングをするアマチュアサイクリストも増加の一途です。しかし、そこには脱水へのリスクがひそみ、トレーニング中の適切な脱水対策を怠ると、熱中症への進捗はもとより、公道での事故による生命の危険も考えられます。

かくれ脱水JOURNALでは、増え続けるアマチュアサイクリストに必読のコンテンツとして、暑い季節に知っておきたい、確認しておきたい、「トレーニングにおける脱水対策」を提供します。ご自身が本格的なロードレーサーであり、レースドクターとしても活躍する富和清訓委員と、タレント・モデルとしてご活躍されながら、本格的なヒルクライムレースにも参加される日向涼子さんの対談で、自転車のトレーンングにひそむ脱水リスクとその対策・対処を確認し、日頃のトレーニングにお役立てださい。 監修:社会医療法人田北会 田北病院 整形外科 富和清訓 お相手:日向涼子(モデル サイクリスト) 撮影協力:株式会社モンベル

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知っておきたいトレーニング時の脱水

自転車トレーニング中には脱水・熱中症のリスクがあります

屋外トレーニングに潜む問題とは?

室内トレーニングに潜む問題とは?

脱水・熱中症を避けるための飲みどきは?

自転車トレーニング中の脱水・熱中症リスク

  • 心肺への強い負荷
  • 追い込み時、休憩をとらない
  • スピード疾走からの集中持続
  • (屋外)直射日光や道路上での放射熱
  • (室内)熱がこもりやすい環境・壁や天井からの輻射熱

自転車トレーニング中の脱水・熱中症リスク

  • 休憩をとる
  • ウォームアップや前後のストレッチ
  • 朝練では朝食を摂る(無理な場合、バナナと経口補水液など)
  • いつもと違うと感じたら止める
  • 汗の気化を促進する機能性ウェア
  • (屋外)日中を避け、朝夕夜の時間利用・暑さ指数「WBGT」の参照・ボトルゲージ+背中のポケットに水分(スポーツドリンクや経口補水液)・練習コースでの水の在り処のチェック
  • (屋内)窓を開け、扇風機などで風の対流を・近くにスポーツドリンクや経口補水液を置く

自転車トレーニング中には脱水・熱中症のリスクがあります

富和委員、ご専門の立場から自転車競技における一般的な身体へのリスクについて教えてください。

富和 自転車競技は心肺機能にすごく負荷がかかるスポーツです。自転車競技が盛んなヨーロッパでは、最も危険なスポーツの一つと言われるほど。大きな怪我を招く落車のこともありますし、心肺に極度の負担をかけるために突然死に至ることもプロアマ問わず結構多いのです。その原因の一つとして、やはり脱水症というものが挙げられています。
脱水症というのは激しい運動時の発汗などで、水分、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルが失われることで発生し、いろんな症状が出てきます。筋肉がけいれんしてしまったり、体温が異常な温度に上がってしまったり、意識がもうろうとしてしまったり。これは熱中症の初期症状と同じで、脱水症と熱中症が同時に起こることもあるのです。

自転車で屋外を走っている時の意識障害は、そのまま事故にもつながり生命の危険に直結します。

日向 じゃあ、熱中症っていうのは、その脱水症が起きてから発生するんですか。

富和 その原因のひとつに脱水があるということ。例えば、運動によって身体の熱が異常に上がってしまうと身体は発汗によって熱を下げます。しかし、脱水状態で水分がなければ発汗ができない。体温調節が出来ないために熱中症へと進行するわけです。ですから、脱水を防ぐことによって熱中症へのリスクが減るとも考えられるのです。

日向 身体から水分を失う量というのはどうでしょうか?

富和 失う水分量は個人によって異なりますが、私の経験やプロの選手からのヒアリングからだと、選手は安定した走行をするために、気温が25度ぐらいで1時間に500~1,000mLぐらい経口補水液を補給していたはずです。その分、失われているともいえますね。

屋外トレーニングに潜む問題とは?

更新日:2017/07/10

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