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旅行中は、安心して飲める水分を自分で持って歩かなくてはいけない。これを旅行中を通じての習慣にする必要があります。わたしたちは、自身の健康面への責任を自分で予防する知識を得、できるだけ自身の責任のもとで対処する姿勢を持つという意味で「セルフトリートメント」と言っています。
渡航することは、仕事であろうとプライベートであろうと、基本的に脱水環境に行くことだと自覚しましょう。したがって誰もが失った水分を補水するための道具を肌身の近くに持っていたほうがいい。それは、例えば無理のないスケジュールで睡眠をとり食事をちゃんと摂っているのなら、安心できるミネラルウォーターなどの「水」で大丈夫です。そして、ノドが渇く前に飲むことが予防。ノドが渇いたら、それはもう軽い脱水なのですから。
機内が脱水環境であることを覚えてください。そして飛行機に乗る前に必ずトイレに行くとか、機内で消灯になるとき、また消灯中にみんながまだ寝ているなと思うときに目が覚めたらそのとき必ず行っておくなど、トイレへ行くチャンスがあれば必ず行って水分を絞り出す。そしてトイレを気にせずに、1時間に100mLを基本に水分を摂る。機内での習慣にしてください。
移動中の機内では、しっかり食事も摂っているのなら補水に「水」でかまいません。しかし、飲酒が過ぎたら利尿作用で電解質も多く失いますから、水分だけでなく何か軽食等で塩分も摂った方がいいでしょう。経口補水液のゼリータイプは便利だと思います。
旅先で忙しく動き回り、お酒の機会が続き、熱を持ったり下痢気味になったりしているときは脱水状態になっています。そのときは経口補水液です。経口補水液なら、水分と共に塩分などの必要な電解質がカラダに吸収されるようになっています。
とくに途上国へ行く場合は、水分だけでなく経口補水液のパウダーを、1袋でも2袋でもいいですから、脱水を補正する道具として持っていくことをお勧めします。
海外で具合を悪くしたときは、病院に行くべきですが、これがまた大変です。病院での手続きもですが、途上国だと病院までの道路が混むことも多く、大渋滞に巻き込まれ暑い車内に閉じ込められることもある。そうしたときに、まず自分で脱水症を経口補水液で対処しすることは重篤化を防ぐことにつながります。
欧米では自己治療=セルフトリートメントという考え方が浸透しています。まず知識を貯え、自分の判断で対処することができるほうがいい、という考え方。日本の方々も渡航する先は外国です。最低限、脱水リスクに関してはセルフトリートメントできるようにしてほしいものです。
医療法人社団 航仁会
渡航医学センター 西新橋クリニック 理事長
医学博士 東京慈恵会医科大学卒業 ワシントン大学リサーチフェロー 日本航空(株)健康管理部副主席医師 2006年東京慈恵会医科大学非常勤講師 2012年 海外法人医療基金 相談担当医
更新日:2017/07/22
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