「旅行者下痢症」への対応を!

途上国への旅では、季節に関係無く「旅行者下痢症」への対策を知ってくことが大切です。
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旅行者下痢症とは、おもに海外への旅行者に多くみられる症候群のうちの一つで、近年、日本でも渡航医学の専門家から注意喚起がされています。研究者によると、毎年、海外旅行者の20~50%、おおよそ1,000万人が下痢にかかっています*1。日本人に関しては、タイのバンコクに2週間滞在した旅行者のうち26%が発症したとの報告もあります*2。
海外とくに途上国では、特有の病原体(細菌、寄生虫、ウイルスなど)からの感染性によるものが主な要因ですが、環境が変わることによるストレス、飲み水や食事(とくに油)の変化、ビジネス・プライベートに関わらず慣れない土地で無理なスケジュールをこなすために体調を崩すなど、多様な要因があるといわれています。普段と異なる環境になる旅先では、旅行者下痢症へのリスクが高いのです。
大塚製薬工場の経口補水液OS-1には、パウダータイプがあり旅先への携行に便利。
15g500mL用と30g1L用がある。
下痢を繰り返すと、身体から、水分と共に電解質を著しく失うために脱水状態につながります。予防としては、飲み水を信頼できる店舗で購入し、できるだけ煮沸して飲む、食事は衛生状態の良い信頼のおける店舗を選ぶことなどが重要ですが、旅先では旅行者下痢症になりやすいことを前提に、その対策を知っておくことが大切。渡航医学の専門医は、旅行者下痢を発症した場合は、失った水分や電解質をスムーズに補える、経口補水液を摂取することを勧めています。また、経口補水液は旅先ではすぐに手に入らないこともあります。途上国へ旅行する際は、持ち運びに便利な経口補水液のパウダータイプを事前に購入し、持参することを常識化して欲しいとも。もちろん、海外で体調を崩した場合は病院へ行くべきですが、経口補水液で早めの対処をしておけば、軽い脱水の場合は平常への回復が見込めますし、慣れない土地で病院へ行くまでの重篤化も防ぐことにもつながるのです。
*1 WGO (World Gastroenterology Organization)"Frequently Asked Questions On Travelers' Diarrhea"
*2 Mitsui, Y., C. Chanyasanha, C. Boonshuyar, et al. 2004. Incidence of travelers’ diarrhea among Japanese visiting Thailand. Tropical Medicine and Health 32: 21 26.
更新日:2018/04/09