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西村 ここ数年は、秋の山では道迷いがいちばん多いようです。どういった状況で道に迷うかというと、紅葉の時期、紅葉を楽しみながら写真を撮ったりして歩くのは心地よいのですが、樹林帯の葉が落ちて、登山道を覆い尽くしてしまい、ルートを見失ってしまうということがあります。すると、急斜面に近づき、滑落してしまう事故も起こります。
もうひとつは、夏に比べて日没時間が早くなります。余裕を持った早い時間からの行動であれば日没までには下山できるのですが、何かアクシデントが起こったり、疲れてしまって行動が遅くなったりすると日没後に下山してしまう。日が沈むと、ヘッドライトのような照明器具を持っていない登山者は、周囲が暗くて登山道を見失い、その場から動けなくなって遭難してしまうということがあります。
天候や体調を鑑みて、途中で無理をしないで、最後まで山頂を目指すのではなく引き返すということも、選択肢として持って欲しい。
大城 まず水分は登る前にしっかり摂っておくこと。それから朝一回おしっこをして、登る前にもう一回おしっこが出れば、カラダに水分が循環している。それがカラダの出発準備が整ったということです。そのためには、朝最低500mlは飲まないといけません。少し塩分を含んだものを飲んだほうがカラダに水分を貯めておく作用があるのでお勧めします。
日本人の登山スタイルというのは、だいたい25〜30分歩いて5分休むか、50分〜1時間歩いて10分休むかというのが多い。登山中の水分補給は、それに合わせて、登りだしてからは30分ごとに200ml前後くらいずつ飲むように指導しています。登山は激しい運動ですから、汗や呼気で水分を失います。登り終わってからも水分を摂ることも重要です。
「経口補水液やスポーツドリンクが重いと感じる人は、事前に水場を確認したうえでパウダー(粉末)タイプを携行し、必要に応じて真水に溶かして塩分などの電解質と糖質を補ってもよい」と大城委員
大城 山での脱水サインは、以前からご紹介しているように幾つかありますが、一般的には少しみつけにくいかもしれません。喉の渇きというのはすぐにはやってこないですし、疲労や寝不足の症状と同じように感じるんですね。私は、おしっこの回数がわかりやすいと思います。普段、2〜3時間に一度くらいはトイレに行くと思いますが、山の中でも同じことです。いつもと違うようならやっぱり脱水なのです。水分を幾ら飲んでもまだおしっこが出ないというのは、摂取量が足りないということ。おしっこがいつもと同じペースで出ていなければ、水分が足りないと覚えてください。
またトイレをガマンするために水分を控えてしまう人が女性に多いです。夏場だと、それが山での熱中症の原因になっています。登山のリーダーが強制的に水分補給の時間を決めて水分を摂らせないといけませんね。水分補給を怠ると当然脱水のリスクが増します。体調不良の原因になりますから、秋の山などでも同じだと考えて欲しいです。
西村 どこの山でもそうですが、とくに北海道の山ではトイレ事情はよくありません。私たちは、携帯トイレを携行することを勧めています。最近は多くの方が携行していらっしゃるようですよ。
更新日:2019/07/05