私たちは、感染性胃腸炎からくる脱水の危険性と、正しい対処法をお伝えします。

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かくれ脱水JOURNAL

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重症でない場合は、病院に点滴しに行くよりも自宅で経口補水療法を開始する方が良いって知ってました?

経口補水療法は、急速に体液を補給し、維持できる経口補水液を飲んで、脱水状態を改善させます。覚えておきたい何時でも何処でも誰でもできる上手な脱水対策の食事療法です。

人間の体液は、体重の約60%(新生児では80%、高齢者では約50%にまで減少)で、主に水と電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウムなど)から構成されています。また、体液には、カラダのさまざまな部位の活動を助け、機能を維持するために必要な物質も含まれています。この体液が不足する脱水症(Dehydration=カラダから水と電解質が同時に失われた状態)が、生命の活動や維持に対してとても危険な状態を引き起こすのはこのためです。

ここで健常成人の水分の出入りについてお話します。通常、尿や大便などで1日に2,500mLの体液を失いますが、食べ物や飲み物などで2,500mL分を補っているので、脱水状態にはならずに済みます。ところが、下痢やおう吐や過度の発汗があると2,500mLよりも多くの体液を失うので、その分に応じて多く補う必要があります。

そこで大いに役に立つ経口補水療法について、ここから詳しく解説していきます。

「経口補水療法」は、開発途上国の医療を変えた、20世紀最大の医学上の進歩

経口補水療法は、当初、点滴治療の普及が遅れていた開発途上国で、コレラによる下痢に伴う脱水症治療に用いられ、その有用性が認められました。特に1968年にバングラディッシュにおける小児のコレラ治療に用いられ、その際に点滴治療に匹敵する効果を上げたことで注目されました。

この後、1971年の同地域に端を発したコレラの大流行があった際には、小児患者の死亡率を30%から、なんと3.6%に劇的に改善させました。世界保健機構(WHO)は、1960年〜1970年代の経口補水療法の研究結果をまとめ、その療法に用いる経口補水液(Oral Rehydration Solution)の組成を1975年に発表しました。

コレラになると激しい下痢により、水・電解質が急激に失われますが、そのような状態であるにもかかわらず、経口補水液は、小腸から吸収され、脱水状態を改善します。いったいどのような仕組みになっているのでしょうか。

この小腸での水分吸収に「ナトリウム・ブドウ糖共輸送機構」というメカニズムが重要な役割を果たしていることが明らかになっています。

ナトリウムとブドウ糖とを一緒に摂取すると、小腸粘膜に存在する共輸送体によって同時に吸収され、それに伴って水分が受動的に吸収されます。

しかも、この共輸送機構は、コレラやロタウイルス感染などによる分泌性の激しい下痢の場合でも、この機能を維持し続けることが分かっており、ナトリウムとブドウ糖とが中心に構成される溶液が経口補水液として使用される根拠です。

WHOの集計によると、現在では、年間100万人以上の小児が経口補水療法によって救命されています。医療の現場では、その治療効果を『20世紀の医療最大の進歩だった』という声も上がっているほどです。

患者さんにも医療従事者にもWin-Winで優しい。いま知っておくべき生活と生命の防衛、最先端

更新日:2020/06/01

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