熱中症と脱水症に専門家が発信する正しい情報を!隠れ脱水JOURNAL

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その頭痛、発熱、
もしかしたら脱水が原因?

発熱を伴う頭痛などでは、経口補水液を摂ることで症状が改善する場合があります。これは、その症状の原因が脱水症であったことを示すもの。

風邪や、二日酔いの症状、あるいは近年の新型コロナの初期症状や、新型コロナワクチンの副反応など、頭痛薬や解熱剤を服用する前に、一度経口補水液を試してみることをお勧めします。

これ、診断的治療という考え方を応用したものです。 監修:谷口英喜 済生会横浜市東部病院
患者支援センター長 兼 栄養部部長

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その頭痛、発熱、もしかしたら脱水が原因?

診断的治療って、知っていますか?

新型コロナウイルスの流行で、ワクチン接種の副反応が話題になりました。中には、発熱や頭痛に悩まされた方もいらっしゃったようです。その時に、経口補水液を摂ると副反応の症状がやわらぐことがあることも話題になりました。

診断的治療とは、症状の原因を検討する場合に、それに対する治療をしながら経過を観察し、行った治療に効果があればその診断が正当であったと診断・治療することです。

新型コロナウイルスの流行で、ワクチン接種の副反応が話題になりました。中には、発熱や頭痛に悩まされた方もいらっしゃったようです。その時に、経口補水液を摂ると副反応の症状がやわらぐことがあることも話題になりました。

実は、医療の現場には診断的治療というものがあります。

診断的治療とは、症状の原因を検討する場合に、それに対する治療をしながら経過を観察し、行った治療に効果があればその診断が正当であったと診断・治療することです。

発熱や頭痛などの急性の症状は、診断や検査でも簡単に診断がつかないものが多く、確定診断に至らないことが多いのです。そのときは、症状からある程度想定し、治療や処方を行なって経過を見て、症状が改善するようならその治療・処方を続けることがあります。

新型コロナワクチンの場合は、熱が出て汗をかいている症状に対して、脱水症の症状だと想定して経口補水液を飲んでみたら改善した、ということが当てはまります。一概には言えませんが、経口補水液で改善したのなら脱水症を疑ってよかったのです。

脱水が頭痛の一因になることがあります

ワクチンの副反応でなくとも、脱水症が微熱の原因の一つとなることは、よくあることです。朝起きたら「熱っぽい」。体温を計ったら37.2度ある。風邪かな? 昨夜のお酒が少し過ぎたのかな? それとも…。とりあえず買い置きの解熱剤を飲んで様子を見るか、というようなことは、多くの人が経験したかもしれません。

ワクチンの副反応でなくとも、脱水症が微熱の原因の一つとなることは、よくあることです。朝起きたら「熱っぽい」。体温を計ったら37.2度ある。風邪かな? 昨夜のお酒が少し過ぎたのかな? それとも…。とりあえず買い置きの解熱剤を飲んで様子を見るか、というようなことは、多くの人が経験したかもしれません。

ぜひ知っておいて欲しいことがあります。脱水症が微熱の原因になることがあります。

血液の55%は水分。体水分が足りていないと皮膚の血流も減ってしまい、皮膚から外気へ熱が逃げにくくなります。

そのために体温調整がうまくいかず高体温気味になったり、内臓や筋肉などの器官が酸素不足を起こして痛みが出たりするのです。これは、初期の段階で、風邪やウイルス感染時と似た発熱や軽い頭痛という症状として現れることがあります。

こうした発熱・頭痛をそのままにしておくと脱水症を進行させ、症状を悪化させてしまいます。仮に風邪やウイルス感染であった場合も、脱水が関与している初期症状を緩和するという意味で、「熱っぽい」と感じたら、一度経口補水液を摂ってみることをお勧めします。

経口補水液を摂る「診断的補水?」のススメ

経口補水液は、水、塩分などの電解質、糖分がバランスよく配合されている飲料。小腸からスムーズに吸収され、素早く脱水状態を改善させるのが特徴です。

発熱や頭痛だけでなく、倦怠感や眠気、軽い吐き気、なんとなく食欲が低下するなど、消化機能が低下しておこる二日酔いの一部や夏バテの症状も、脱水が関与していることがあります。胃腸薬を服用する前に、経口補水液を試してみてください。摂った後、症状が改善する場合は、やはり脱水状態が原因だったと考えていいのです。これ、診断的治療というより、「診断的補水」とでも言ってみたくなりませんか?

経口補水液は、水、塩分などの電解質、糖分がバランスよく配合されている飲料。小腸からスムーズに吸収され、素早く脱水状態を改善させるのが特徴です。

発熱や頭痛だけでなく、倦怠感や眠気、軽い吐き気、なんとなく食欲が低下するなど、消化機能が低下しておこる二日酔いの一部や夏バテの症状も、脱水が関与していることがあります。胃腸薬を服用する前に、経口補水液を試してみてください。摂った後、症状が改善する場合は、やはり脱水状態が原因だったと考えていいのです。これ、診断的治療というより、「診断的補水」とでも言ってみたくなりませんか?

済生会横浜市東部病院
患者支援センター長
兼栄養部部長

谷口英喜(たにぐち・ひでき)

専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。
著書「[改訂版]イラストでやさしく解説! 「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本」「熱中症・脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック 改訂版」
ブログ「谷口ゼミ通信」

更新日:2022/05/27

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